研究課題/領域番号 |
20K08453
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
川上 利香 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (70378678)
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研究分担者 |
斎藤 能彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30250260)
尾上 健児 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (90510173)
金岡 幸嗣朗 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70873412)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 劇症型心筋炎 |
研究実績の概要 |
劇症型心筋炎は、急激に血行動態の破綻を来し、致死的経過をとる心筋炎である。劇症型 心筋炎は稀な疾患であり、世界的にみても、悉皆性の高い劇症型心筋炎の疾患登録は存在せ ず、近年の治療の現状を反映した予後予測や治療法の有用性の検討は十分にされていない。本研究においては、悉皆性の高い、大規模な劇症型心筋炎の疾患登録の構築とその解析を行うことを目的とした。 2012年4月1日から2017年3月31日までの期間にJROAD-DPC登録施設に入院した劇症型心筋炎患者をJROAD-DPCデータベースより抽出し、JROAD-DPC登録施設に対して、本研究への協力を依頼した。日本循環器学会、研究協力施設の倫理委員会で承認を得た後、、臨床情報およびDPC情報を収集し、データベースの構築を行なった。全国255施設より研究協力を得て、2020年度終了時点で約800例の症例登録が完成し、世界最大の急性期劇症型心筋炎の疾患登録をなし得た。症例登録を行なった症例の9割以上で、臨床上も心筋炎の診断がされ、700例以上の臨床診断上の心筋炎症例の登録を行い、そのうち300例以上が、病理学的にも心筋炎であることが明らかとなった。患者背景は、これまでの欧米のレジストリと比較し、対象患者は高齢で、ほぼ全例で昇圧剤使用、8割以上で大動脈バルーンパンピングによる治療、半数以上で経皮的心肺補助装置が使用されており、急性期死亡は3割以上と高率であった。 本研究では、これまでなし得なかった悉皆性の高い調査を、劇症型心筋炎という希少疾患について、全国規模でなし得たことが、重要な成果を考えられ、今後、詳細な検討を行なっていくことが可能と考えられた。
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