研究課題/領域番号 |
20K08457
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
阿部 七郎 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80275718)
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研究分担者 |
佐久間 理吏 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10530199)
井上 晃男 獨協医科大学, 医学部, 教授 (20168454)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 血管内皮機能 / 冠動脈疾患 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は冠動脈疾患患者つまり血管内皮機能の低下が予測される患者に対する大豆由来エクオールの内皮機能改善効果を調べることである。その基礎実験としてエクオールによる内皮前駆細胞EPCの動員効果を観察すべく実験を行った。 臍帯血由来のEPCを幹細胞因子(SCF)100 ng/mL、血管内皮増殖因子(VGEF)50 ng/mL、インターロイキン3(IL-3)20 ng/mL、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)50 ng/mL、インスリン様成長因子(IGF-1)50 ng/mL、上皮細胞増殖因子(EGF)50 ng/mLおよびヘパリン2 U/mLを加えたメチルセルロース培地においてエクオール0、0.1、1および10μMの各濃度で添加し17日間培養したのちに小型および大型コロニー数を位相差顕微鏡下に計測した。 エクオール濃度が0.1、1μMと濃度依存性に大型EPCコロニーが増加し、小型コロニーが減少することが確認され、これはエクオールによるEPCの分化促進作用が確認された。今後このような基礎的研究をさらに発展させ、本研究につなげる予定である。 現在研究の登録は8症例にとどまっている。ランダム割り付けでエクオール投与群が6例、非投与例が2例である。故に現時点で内皮機能検査の結果や採血検査での比較の成績が得られない。特にソイチェック測定によってエクオール生産性を持っている患者が思ったより少なくないという印象は得られている。今後症例を重ねていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の主要評価項目は血管内皮機能検査(FMD)であり、当院ではFMD計測は、国内のFMD計測法統一化研究(FMD-J研究)においてトレーニングを受けた一人の技師によって行われることとなっている。今回、研究開始後、当該技師が健康上の理由で本年4~5月に休職していたため登録開始が遅れてしまった。また本研究の対象は閉経女性の冠動脈疾患患者を対象としており、今回のコロナ禍における自粛生活によって、日常労作の負荷量が減少して、労作性狭心症が顕在化する症例が減少しており、これにより冠動脈造影検査の件数自体も減少していることから進捗が遅れている。また本研究はソイチェックという簡易測定キットの使用によってサプリメント服用可能かどうかの判断がなされることよっても律速されているので、予想よりも適応症例が少なかったことが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は遅れを取り戻すべく、冠動脈造影検査目的の入院患者だけでなく外来通院患者からも適応症例を探索し登録を推進する所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由としては、1つは本研究で使用するサプリメントエクオールには使用期限があるが、症例登録の進捗に遅延が生じたため一度に購入せず、症例登録とともに今後購入を増加する予定とした。2つ目は患者選択の時点でソイチェックという判定キットで登録可能か否かを判断するのであるが、適応なしの症例が一定数あるため予想よりも多くのソイチェック測定キットが必要になること判明した。今後これら必要数を追加購入する予定である。
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