研究課題/領域番号 |
20K08457
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
阿部 七郎 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80275718)
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研究分担者 |
佐久間 理吏 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10530199)
井上 晃男 獨協医科大学, 医学部, 特任教授 (20168454)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 血管内皮機能 / FMD |
研究実績の概要 |
我が国で増加の一途を辿る心血管死亡の大部分は虚血性心疾患によるものである。我々の施設がある栃木県は全国屈指の女性の心血管死亡の多い県であり、我々は栃木県の女性患者において閉経期で脂肪酸プロファイルが有意に悪化していることを報告し、これが原因の一因であると考えている。女性ホルモンには血管内皮保護による抗動脈硬化作用があると言われており、閉経期女性への新たな薬物介入の必要性を痛感している。 他方大豆由来イソフラボン代謝産物であるエクオールは、現在更年期障害の不定愁訴の改善や女性の皮膚の皺に対する美容上のサプリメントとして発売され話題になっている。これは非ステロイド性エストロゲン受容体リガンドであり近年抗動脈硬化作用の報告が散見されているが、虚血性心疾患閉経女性へのエクオールの有用性は明らかでない。動脈硬化は内皮機能障害が端緒となると考えられるので、栃木県周辺在住の閉経期虚血性心疾患女性の内皮機能に対して、エクオール摂取の影響を検討することは意義のあることと考えるものである。 本研究は、閉経期以降の虚血性心疾患女性を対象にエクオールを10㎎/日にて3ヶ月間投与した際の内皮機能改善効果を検討することを目的とし、エクオールを摂取することにより内皮機能が保護される可能性に期待している。現在19例の患者がエントリーしており15例で摂取後3か月のFMDによる内皮機能検査のデータ取得を完了している。コロナ禍にあって症例登録が遅れているものの着実に登録されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初コロナ禍によって日常生活活動における運動量が減った。そのため日常労作が減ったためもあり労作性狭心症を訴える患者数が減っている。また入院制限があるため、緊急症例以外の冠動脈造影検査入院が先延ばしとなり、検査件数が激減してしまい、適応患者の発見が著しく少なくなった。これにより当初の予想よりも大幅に遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ患者数の減少が見込まれ、日常での運動量が増えることにより、狭心症発見の機会が増加すると思われる。また積極的に冠動脈造影CTスキャンも行い登録症例を増やしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって当初の見込みよりも症例登録が伸び悩んだために実質の使用額が少なくなった。 次年度はより多くの患者が登録される見込みであり、エクオールサプリメント、ソイチェックキット、血液検査キットなどの物品を購入する予定である。
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