研究課題
体幹部定位放射線治療 (SBRT) は、難治性心室頻拍(VT)に対する低侵襲な不整脈治療法として注目され、優れた効果を発揮している。しかし問題点としてターゲットが腫瘍のように可視化できないことから、照射対象の決定方法は定まっていない。我々は2019年により本邦における初めての前臨床試験(第II相、SRAT試験)を開始し、現時点で5例の症例に対して実施した。本研究では異なる基礎心疾患を有する3名(60~91歳、陳旧性心筋梗塞、虚血性心筋症、肥大型心筋症))の患者に着目し照射野決定までのプロセス明らかにする。VTストームに対するICD頻回作動の極めて重篤かつ緊急な症例もあったが、12ヶ月以上のフォローアップが終了し、治療後の安全性ならびに抗不整脈効果は、概ね良好な経過が得られた。ターゲットを設定するために、現状では電気生理学的/構造的/機能的情報データを集約しAHA 17セグメントモデルに反映させることが推奨されている。しかし当院の事例では侵襲的電気生理学検査の非実施, 造影剤使用制限や体内金属によるMRI撮像制限により、情報が限定的であった。そこで代替として高分解能ホルター心電図検査による疑似12誘導心電図を用いた非持続性VTや早期心室収縮の起源の類推や、心臓核医学検査による交感神経洗い出し亢進領域やミスマッチ領域の同定が不整脈基質の類推に有用であった。いっぽうで検査の重み付けや多重スコア化の懸念が残った。そのほか照射を回避すべき健常心筋や、周辺臓器に対するリスクが十分に考慮された。心臓SBRTが必要とされる難治性不整脈患者では、照射治療計画に必要な情報が低侵襲検査に限定される場合がある。解決すべき課題もあるが、危機的状態にある患者の救命処置として有望な選択オプションとなり得る可能性を秘めている。
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Circ Rep.
巻: 5 ページ: 69-79
10.1253/circrep.CR-23-0003
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巻: Online ahead of print. ページ: 00-00
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https://www.tokai.ac.jp/news/detail/_4_1.html
https://www.qst.go.jp/site/press/20230328-1.html