研究課題/領域番号 |
20K08460
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
齋藤 恒徳 日本医科大学, 医学部, 助教 (00716631)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オートファジー / 拡張型心筋症 / 全エクソーム解析 / 次世代シーケンサー / 電子顕微鏡 / 原因遺伝子 / 循環器内科学 |
研究実績の概要 |
オートファジーは細胞の自己成分を分解しアミノ酸として再利用する作用である。拡張型心筋症(DCM)の心筋障害の原因のひとつとしてオートファジー不全が考えられ、その遺伝学的特徴を調べるため、DCM患者におけるオートファジー関連遺伝子および心筋症関連遺伝子発現の全エクソーム解析による網羅的探索を行った。32例の解析を行い、以下に示すような結果が得られた。 (1) オートファジー遺伝子、オートファジー関連遺伝子変異として、ATG2B、ATG9B、EPG、PSEN2の点突然変異を認めた。これらは全てvariant unknown significanceであった。 (2)心筋症関連75遺伝子と不整脈関連41遺伝子について解析した結果、404遺伝子変異を認めた。15の病原性/準病原性遺伝子が14人の患者に認められた。特に、重症例にはTMEM43やDSPといった遺伝子変異を有するDCM患者の他に、既存の報告では比較的予後良好と報告されているMYBPC3変異を有する患者も認められた。 (3)TTNは細胞骨格を担うtitinをコードする遺伝子であり、サルコメアのZ帯に近い部分に相当するエクソンの変異がある患者は病原性が高いことが明らかになっている。A帯に相当するエクソンの変異を有する症例ではサルコメアが疎になったような変化を、I帯に相当するエクソン変異を有する症例では筋原線維が無数の方向に散在するような電顕所見を認めた。 (4)核膜蛋白LUMAをコードするTMEM43変異症例では核周囲に、細胞接着に関連するDSP変異を有する症例では細胞辺縁に筋原線維の変性・消失所見を認めた。 以上から、初発の心不全において比較的早期に得られた心内膜心筋生検の画像は遺伝子検査を行う方針決定に有用である可能性が示された。これらの結果はESC Heart Failure誌に論文発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
DCMの全エクソーム解析結果と電顕所見との比較検討結果を論文発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
オートファジー関連遺伝子変異については、検出された変異が全てvariant unknown significanceであったため、学会発表までしか行えていない。このため症例数を20例追加し全エクソーム解析を行った。オートファジー関連41遺伝子に加えミトコンドリア関連147遺伝子について調べた。現在バイオインフォマティクスまで終了しており、結果を分析中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会がオンラインであったため旅費が計上されなかった。全エクソーム解析の結果検出された遺伝子変異の機能解析を行う計画である。
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