研究課題/領域番号 |
20K08460
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
齋藤 恒徳 日本医科大学, 医学部, 助教 (00716631)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オートファジー / 拡張型心筋症 / 全エクソーム解析 / 次世代シーケンサー / 電子顕微鏡 / 原因遺伝子 / 循環器内科学 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
オートファジーは細胞の自己成分を分解しアミノ酸として再利用する作用である。拡張型心筋症(DCM)の心筋障害の原因のひとつとしてオートファジー不全が考えられ、その遺伝学的特徴を調べるため、52例のDCM患者におけるオートファジー関連遺伝子および心筋症関連遺伝子発現の全エクソーム解析による網羅的探索を行った。心筋症関連75遺伝子と不整脈関連41遺伝子について解析した結果、704遺伝子変異を認めた。うち26は病原性/準病原性遺伝子であった。それらの心筋生検の電子顕微鏡所見は遺伝子変異を反映しており、初発の心不全において比較的早期に得られた心内膜心筋生検の画像は遺伝子検査を行う方針決定に有用である可能性が示された。オートファジー関連遺伝子変異は絶対数が少なく、またエビデンス不足によりvariants of unknown significance (VUS)として計上されるため、我々は非ミトコンドリア心筋症であるDCMに着目した。ミトコンドリアは細胞のエネルギー産生を司っており、ミトコンドリア機能異常により心筋障害をきたす。ミトコンドリア選択的オートファジーはミトコンドリア恒常性を保つのに必須のシステムである。ミトコンドリア関連148遺伝子の解析を行った結果592遺伝子変異を認め、うち8遺伝子変異は他疾患(癌、神経変性疾患など)に対する病原性/準病原性遺伝子であった。生存分析および多変量解析により、これらは心血管関連死亡と強く相関していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
DCMの全エクソーム解析結果と電顕所見との比較検討結果を論文発表することができただけでなく、ミトコンドリア選択的オートファジー(マイトファジー)を含むミトコンドリア関連遺伝子変異のDCMにおける意義の解明に着手できた。
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリア関連遺伝子変異の解析結果を臨床的、病理的データと照合し解析する。また今回明らかになった変異遺伝子の蛋白質について具体的な機能解析を行い心筋障害の機序を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
インシリコ遺伝子解析および論文作成にかかる費用です。
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