研究実績の概要 |
本研究課題は申請者が2017-2019年度に行った「拡張型心筋症におけるオートファジーの検出と臨床的意義の解明(17K16029)」の後続研究である。17K16029では電子顕微鏡で拡張型心筋症(DCM)の不全心筋に認められるオートファジーをMRI所見や臨床像と比較した。心筋の線維化を反映する所見であるMRIガドリニウム遅延造影よりもオートファジーの方がより明敏な予後予測指標であり、オートファジー不全がDCMの原因になりうると考えられた(Saito T, et al. ESC Heart Fail.2020;7:682)。 これを受け、本研究課題ではオートファジー関連遺伝子変異が心筋細胞障害の原因となるか調べることを目的とした。32例のDCM患者にDNAの全エクソーム解析を行い心筋症関連116遺伝子およびオートファジー関連44遺伝子に着目したところ、ATG2B (c.1939C>T) およびPSEN2 (c.1262C>T) の変異がDCMの原因である可能性が示された。 PSEN2の機能解析を行ったところ、2021年5月にPSEN2はマイトファジーを司る蛋白質パーキンの細胞質からミトコンドリアへの細胞内移送を担っていることを明らかにした。オートファジー関連遺伝子変異が心筋細胞障害の原因となりうることを証明でき、研究目的を達成した。
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