研究課題/領域番号 |
20K08469
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
芦原 貴司 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80396259)
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研究分担者 |
小澤 友哉 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (20584395)
奥山 雄介 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (60867654)
原口 亮 兵庫県立大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (00393215)
稲田 慎 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (50349792)
中沢 一雄 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (50198058)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 分子心臓学 / 不整脈学 / 心房細動 / 非発作性心房細動 / リアルタイム可視化 / リアルタイム映像化 / in silico / 人工知能 |
研究実績の概要 |
非発作性心房細動(Non-PAF)の治療にはローター(機能的興奮旋回)の持続機構の修飾が必要と考え,最近,研究代表者らはオンライン・リアルタイム臨床不整脈映像化システムExTRa Mappingを発明した.本研究では,ローターの特徴や制御方法,アブレーション成績との関係,人工知能やin silico解析導入時のローター制御予測性と治療予後予測性等,残された多くの課題を扱う. 初年度の令和2年度は,新型コロナウイルス感染症の影響により進捗が遅れたが,Non-PAF持続機構としてのローターの特徴を見出すべく臨床データに基づく興奮動態解析とin silico・AI解析準備に着手し,マッピング精度再検証ならびにローター維持機構と線維化様態の関係を明らかにした. 続く令和3年度も,新型コロナウイルス感染症の影響で研究進捗は遅れ気味で,購入予定がずれ込んでいたハードウェアも需要の高まりと半導体不足の影響で入手困難ななか,本研究に用いていた既存ノートPCが故障した.それでも研究中断を避けるため,急遽,新たなノートPCの購入費を本研究費で賄った.本研究の班会議についてはオンライン会議を活用し,ローター動態解析にかかる研究を推し進め,汎用型AIのシステムへの導入に向けた研究にも着手した.ただ,現時点では計算資源が不十分なため,他の研究資金で補いながら,最終年度となる令和4年度には,当初の予定通りExTRa Mappingの精度向上と施術時間短縮に繋がるローターの時間再現性や制御予測性を汎用型AIで算出できるシステムの実現を目指したい. これまでの研究成果についてはExTRa Mappingを用いたNon-PAF治療にかかる論文や書籍として執筆し,日本不整脈心電学会,日本生体医工学会等の学会や研究会,学術講演会等での講演を行った.なお,国際学会については海外渡航の見込みが立たず断念した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要の項にも記載したが,本研究期間の開始から2年目となる令和3年度の末に至るまで,新型コロナウイルス感染症は収まる気配をみせず,カテーテルアブレーションを受ける入院患者には全例PCR検査を行うなどして,十分な感染対策はしていたものの,入院控え,手術延期,院内クラスター感染の等の影響もあり,Non-PAFアブレーション症例数は抑制され,研究環境も十分ではなく,当初の計画からは遅延している. コンピュータ・IT機器にかかるハードウェアについても,新型コロナウイルス感染症の影響で入手と整備が困難な状況となり,既存の機器を用いた範囲での解析となった.途中,本研究に用いていたノートPCの故障もあり,研究中断を避けるため,ノートPCを追加購入しなければならない予定外のトラブルもあった. 学会・研究会・班会議等についても,令和3年度も本来の対面による成果発表や情報交換そして共同研究作業が困難な状況が続き,中止・延期または不完全な形でオンラインまたはオンデマンド形式での講演や発表となったこともあり,成果発表についても当初予定していた通りとはいかなかった.そうした厳しい状況のなか,それでもできる限りのことは行い,別項に列挙したような研究成果を積み上げることができた. また,具体的に発表できる研究成果までには至っていないものの,最終年度となる令和4年度に向けて,当初予定していたExTRa Mappingに基づく興奮伝播解析に汎用型AIを導入するための最適アルゴリズムについて,すでに検討を開始している.
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今後の研究の推進方策 |
本研究期間の最終年度となる令和4年度も,いまだ新型コロナウイルス感染症の影響は残っているため,引き続き感染状況を鑑みながらにはなるが,十分な感染対策をしながら,最終的なゴールに向けて研究を進めていきたい.とくに,これまで購入できなかった計算資源ハードウェアについては,最終年度での導入・整備を目指し,もしそのための費用が他の研究資金で補てん可能ならば,その方向で検討し,もし補てんできなかった場合でも,計算規模を縮小して今後の研究に発展的に繋げることができるような研究成果を出したいと考えている. 代表・分担研究者間ならびに共同研究者間の作業や班会議については,引き続きリモート(オンライン)を併用することはもちろんのこと,感染状況に照らし合わせながらできるだけ対面での会議を増やし,ExTRa Mappingの精度向上と施術時間短縮に繋がるローターの時間再現性や制御予測性を汎用型AIで算出できるシステムの実現に向けて,研究の遅れを何とか取り戻したいと考えている.実際,研究計画よりやや遅れているものの,研究内容そのものの見直しが必要なわけではないことから,基本的方針について,とくに変更はない. また,令和3年度は国内外の学会・研究会・講演会が開催された場合でも,ほぼオンラインでの発表となったが,最終年度の令和4年度は,徐々に対面での開催形式に切り替わることが想定されることから,これまで以上に精力的に国内外の学会・研究会・講演会等で成果発表を行っていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実績の概要の項と,現在までの進捗状況の項にも記載したが,本研究期間の初年度となる令和2年度以降,2年目となる令和3年度末までは,ずっと新型コロナウイルス感染症の影響により,本来は対面形式で開催予定であった学会・研究会・班会議等における成果発表や情報交換ならびに共同研究作業の困難な状況が続き,中止・延期または不完全な形でオンラインないしオンデマンド形式での講演や発表となったこともあり,研究代表者とは所属機関が異なる研究分担者において,予定していた国内外の学会・研究会のための旅費が使用されなかったのが最大の理由である. 最終年度となる令和4年度は,今後の新型コロナウイルス感染症の状況にもよるが,現在のところ,国内外の学会・研究会が徐々に元の対面形式に戻ることが想定されることから,主にそのための旅費として使用される予定となっている.
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