研究課題/領域番号 |
20K08472
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
杜 徳尚 岡山大学, 大学病院, 助教 (70600641)
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研究分担者 |
石津 智子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10507859)
神谷 千津子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (10551301)
赤木 禎治 岡山大学, 大学病院, 准教授 (80231801)
雁金 由美 (椎名由美) 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 副医長 (90436361)
建部 俊介 東北大学, 大学病院, 非常勤講師 (90456062)
坂本 一郎 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (90616616)
相馬 桂 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90755696)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心疾患合併妊娠 / 抗血栓療法 / 抗凝固療法 / 成人先天性心疾患 |
研究実績の概要 |
心疾患を合併した妊娠は増加傾向にあり、死亡率は依然として高い。なかには抗血栓療法を必要とする妊娠もあり、とくに抗凝固療法は高リスクで、原則として妊娠は禁忌とされている。しかし、抗凝固薬を内服していても妊娠する症例や、妊娠を希望する症例は多い。そこで、本研究では、本邦での妊娠中の抗凝固療法の実態について調査し、日本人に適した妊娠管理を探求することを目的として開始された。抗凝固療法を必要とする妊娠の大半は、日本成人先天性心疾患学会が認定した全国81の専門施設で管理されている。そこで、本研究の最終目標はこれら全ての施設を対象に調査を行うことであるが、まずは症例数が特に多い東北大学、筑波大学、東京大学、聖路加国際病院、国立循環器病研究センター、岡山大学、九州大学の8施設でアンケート調査を開始した。 当初は紙媒体やExcel表を用いた調査を検討していたが、データ管理の正確性、さらには個人情報保護の観点からEDC(Electronic Data Capture)を使用することとし、東京大学が統括しているUHCT ACReSSを用いて入力システムを構築し、システムが可動している。 現時点では、初期参加施設より症例登録を行い、すでに20例を超える症例が登録されている。登録されている症例には抗凝固療法が必須な代表疾患である機械弁置換術後の妊娠のみならず、フォンタン手術後症例などの複雑成人先天性心疾患の症例も含まれている。この内容は症例数さらに症例の複雑さですでに本邦での既報を凌駕しており、日本の貴重なデータとなる。 今後は、初期参加施設のデータを学会および論文として報告し、その結果を踏まえて全国の施設に参加を呼びかる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、(1)まず、症例数の多い初期参加施設の8施設で症例登録を行い、(2)その結果を踏まえた上で日本成人先天性心疾患学会により認定された修練施設(81施設)を対象にアンケート調査を行う計画としていた。研究開始当初は紙媒体、もしくはExcel表を用いての調査を計画していたが、データ管理の正確性や確実性、そして個人情報保護の問題からEDC(Electronic Data Capture)を使用することとした。ただ、EDCシステムは一般的に高価であり、本研究費から妥当と思われるシステムの構築に時間がかかった。現在、東京大学医学部附属病院に事務局を置くUHCT ACReSSにてシ ステムを構築し稼動している。さらに、初期参加施設の症例登録は順調に進んでおり、20例以上の症例が登録されている。 ただ、このように入力システムの構築に時間がかかったことと、また全国調査であり各施設の倫理審査に予想以上に時間がかかったこともあり、計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
EDCシステムであるUHCT ACReSSはすでに稼動しており、初期参加施設の症例登録は順調に進んでいる。すでに20例以上の症例が登録されており、その内容は機械弁合併妊娠だけでなくフォンタン手術後の妊娠症例も含まれており、本邦の既報と比べてもその症例数と症例の複雑さで凌駕している。 今後、この初期参加施設のデータを解析し、学会および論文で報告し、全国の施設でのアンケート調査を呼びかける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現時点では初期参加施設のみの登録にとどまっており、今後全国調査するにあたりより費用がかかることが想定される。 また、全国調査の開始に伴いEDCシステムの保守と契約延長があり、より費用が加算されることが想定されるため。
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