研究課題/領域番号 |
20K08475
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂本 隆史 九州大学, 大学病院, 助教 (50641015)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 急性心不全 / 交感神経 / 血行動態 / 右心機能 |
研究実績の概要 |
1)血行動態simulatorの構築と交感神経賦活化による血行動態応答のsimulation:前年度までに構築した多要素モデル動的全身循環simulatorをより正確なsimulatorとなるよう修正した。このsimulatorには交感神経による左右心室要素と血管要素各要素の変化を組み込んでおり、左右心臓のbaseとなる収縮能と交感神経支配の有無、血管への交感神経支配の有無により、交感神経賦活化による血行動態応答が異なり、右室除神経により交感神経賦活化時の左房圧上昇が抑制されることを確認した。 2)頸動脈制御法による交感神経制御と血行動態応答評価系の確立・応用:頸動脈分離法による交感神経制御の手法を用いて引き続き実験を行った。急性左室心筋梗塞モデルを用いることにより、右室除神経の有無による血行動態応答の差がさらに大きくなることを確認した。 3)心臓局所選択的交感神経除神経による血行動態応答変化の評価:前年度までに確立した麻酔開胸下の動物を用いて、右房圧、左房圧、心拍出量、血圧を同時測定できる実験系を用いて実験を行った。また左前下行枝近位部を結紮することにより急性に左心機能低下させ、肺うっ血の指標である左房圧の上昇および心拍出量の減少を得ることができた。フェノールに よる心臓局所選択的な交感神経除神経を行うことができることを確認した。頸動脈洞制御法による交感神経の賦活化により、心臓 局所選択的な交感神経除神経モデルでは血行動態の悪化をきたしにくいとの結果を得ることでできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交感神経を自在に制御する頸動脈洞分離法を用いているが、手技的の複雑さにより成功率が低い。また急性左室心筋梗塞を作成する際に不整脈が問題となりやや遅れている。手技成功率を上げる工夫や不整脈対策をする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
右室選択的な交感神経除神経の有効性についてのPOCを取得する。また除神経方法について冠動脈からのアプローチを含めて臨床応用が可能な手法について探索する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19による実験停止期間があるため研究計画が遅れており繰越すこととなった。2024年度に今年度分を使用した実験計画を立案しており、遂行する予定である。
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