研究実績の概要 |
左冠動脈主幹部の分岐部病変(分岐角度70度)を模した人工血管ベンチモデル(主枝近位部4.1㎜、主枝遠位部3.5㎜、側枝3㎜)を作成し、Long overlapping KBI(Long-KBI)、Minimal overlapping KBI(Mini-KBI)、Proximal balloon edge dilation (PBED)法の3群比較を行った。最終的なステントの変形や側枝入口部のJail率に差があるかどうかを3D-OCT・小型内視鏡カメラを用いて比較検討した。本研究では合計15本の冠動脈ステント(Xience Sierra)を用いた。主枝近位部のステントEllipticity比はPBED群で有意に良好であった(1.02±0.02, 1.48±0.11, and 1.08±0.05, p=0.003)。主枝近位部・遠位部のステント圧着不良もPBED群でLong-KBI群と比較し有意に低値であった(proximal: 0.0±0.0 %, vs. 9.1±3.4 %, p<0.05, distal: 3.4±1.7 %, vs. 8.3±2.9 %, p<0.05)。側枝入口部のJail率は3群間で有意差を認めなかった。 分岐部病変をシングルステントで治療する場合、我々が考案したProximal balloon edge dilatation technique: PBED法を用いた分岐部ステント留置法が、これまで広く行われてきた2本のバルーンで分岐部病変を拡張させるKissing balloon inflation(KBI)法と比較して、最終的なステントの変形や圧着不良が良好で、側枝入口部のJail率に差を認めなかった。
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