研究課題
2012年4月から2017年3月までに入院した心筋梗塞症患者、約26万人のデータを用いて比較を行った。英国の患者は我が国と比較して若く、心疾患の基礎疾患や閉そく性肺疾患の併存率が高かった。一方、我が国の患者は高齢で、糖尿病などの併存疾患が多かった。女性の割合や、喫煙率は両国で同程度であった。年齢や基礎疾患に大きな違いがあることから、ケースミックスモデルを作成し、両国の相違を補正したうえでの比較を試みた。治療においては、プライマリーPCI(経皮的冠動脈インターベンション)の実施率が日本が英国と比較し高いことが示唆された。、また、入院中の心エコーなどの実施率が高く、入院期間も長かった。院内死亡率については、粗解析においては同程度であったが、ケースミックスを用いて、重症度や患者背景などを補正した場合は、我が国は英国と比較して院内死亡リスクが低いことが示唆された。日本における高いプライマリーPCI実施率や、長い入院期間などより医療資源を投入した治療がよい院内予後と関係している可能性がある。一方、生存退院者への処方として、β遮断薬、スタチンの使用率が英国と比較して低いことが示唆された。心不全のステータス別で評価した場合、Kliip2や3の心不全で英国と比較してPCI実施率が相対的に高いことが示唆された。このカテゴリーではケースミックスで補正後も死亡率が低いことが示唆された。日本において院内死亡入院期間はいずれのステータスでも日本で長く、ガイドライン推奨薬剤の処方率は低い傾向にあった。
3: やや遅れている
COVID19感染症のため、種々のプロセスに遅延を認めたため。
循環器病の診療プロセスを明らかにし、アウトカムやストラクチャー因子との関係につきより詳細な検討を行う。また、層別解析を実施する。結果の公表や論文化を進める。
COVID19によるプロジェクトの遅れにより差額が発生した。来年度、データベース関連費用、論文掲載費用などに使用予定。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
ESC Heart Fail.
巻: 10(2) ページ: 1372-1384
10.1002/ehf2.14290. Epub 2023 Feb 3.
E Clinical Medicine
巻: 54 ページ: 101709
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