ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片19例、OCT包埋組織19例の合計38例の心筋生検組織について解析を実施した。いずれもグローバルプロテオミクスを行うには十分なタンパク質量を回収可能であった。前年度までに確立した解析手法を適用することで、取得可能な情報の最大化できるよう解析を行った。結果としては、試料の経年劣化によるタンパク質発現量の変動(分解)や、疾患ではなく個人差に由来するタンパク質発現変動、摘出した心筋の部位によるタンパク質の発現差、などのファクターを考慮した上で病態の解析が可能なクオリティのデータを創出するには至らなかった。課題点は、第一にサンプル数の確保であると考える。また、対象疾患を定めたうえで、できる限り同等の心臓部位の解析が可能な試料回収プロトコルの立案も非常に重要であると考える。 しかしながら、本研究で確立した心筋生検組織の解析手法そのものは、心疾患全般の解析へと応用可能なプラットフォームになることが期待できる。
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