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2021 年度 実施状況報告書

心不全病態におけるがん進行機序の解明 -脳・心・腫瘍連関への治療介入-

研究課題

研究課題/領域番号 20K08493
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

及川 雅啓  福島県立医科大学, 医学部, 助教 (30457775)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード腫瘍循環器
研究実績の概要

本年度はマウス由来乳がん細胞である4T1細胞をBalb/Cマウス乳腺組織に移植した上で心筋梗塞を作成し、心不全合併がんマウスモデルを作成した。がん組織は経時的に増大し、4週間で十分がん組織を十分評価可能であることを確認した。Shamがんマウスと比較すると、心不全合併がんマウスでは腫瘍増大速度が大きく、細胞増殖マーカーである、Ki-67の発現も増加しており、心不全状態では腫瘍増殖が促進されることを確認した。また、心筋梗塞マウスでは神経栄養因子であるNGFがshamマウスよりも増加していることが確認されたため、NGFが4T1細胞増殖に与える影響の検討をおこなった。4T1細胞にNGFを投与すると、コントロールと比較して、約20%腫瘍増大が得られることが確認され、NGF受容体であるTrkAの阻害薬を投与すると、その増殖が抑制されることを確認した。また、腫瘍組織におけるリン酸化TrkAは心筋梗塞作成2週後においては増加を示すものの、5週後の段階ではリン酸化の割合は低下してしまうことから、NGFによる腫瘍増大効果は心筋梗塞発症早期に得られるものと推測された。

また、並行して、実際のがん患者における抗がん剤使用による薬剤性心筋障害発症の臨床観察研究を並行しておこなっており、抗がん剤使用患者における保存血からDダイマーの値を検討したところ、抗がん剤使用前にDダイマーが高い群においては、抗がん剤による心機能障害を発症しやすいことを確認し論文報告をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予想通り心筋梗塞による心不全モデルでは腫瘍増殖が進行することが確認され、そのメカニズムとしてNGF/TrkAシグナルの関与が強く示唆される経過を得ているため。

今後の研究の推進方策

in vitroにおいて4T1細胞におけるTrkA発現抑制をsiRNAを用いて行い、TrkAノックダウンが腫瘍増殖を抑制することを確認する。また、in vivoにおいても、TrkA阻害薬もしくはCRISPR/Cas9システムによるTrkAノックダウン4T1細胞を用いて心不全マウスにおいて腫瘍細胞増殖抑制が得られることを確認する。

次年度使用額が生じた理由

実験試薬が想定より安く、次年度必要物品購入に充てる予定。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] D-Dimer Is a Predictive Factor of Cancer Therapeutics-Related Cardiac Dysfunction in Patients Treated With Cardiotoxic Chemotherapy2022

    • 著者名/発表者名
      Oikawa Masayoshi、Yaegashi Daiki、Yokokawa Tetsuro、Misaka Tomofumi、Sato Takamasa、Kaneshiro Takashi、Kobayashi Atsushi、Yoshihisa Akiomi、Nakazato Kazuhiko、Ishida Takafumi、Takeishi Yasuchika
    • 雑誌名

      Frontiers in Cardiovascular Medicine

      巻: 8 ページ: 807754

    • DOI

      10.3389/fcvm.2021.807754

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Nerve growth factor is associated with breast cancer progression after myocardial infarction2022

    • 著者名/発表者名
      谷哲矢
    • 学会等名
      日本循環器学会
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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