本研究では、次の研究により持続性心房細動において高周波数部位での心房細動の駆動源である渦巻き型旋回興奮波(ローター)の機序をオンライン・リアルタイム不整脈映像化システムに着目し解明した。さらに、心房内低電位領域における傷害心筋・繊維化とローターの停留機序を解明し、持続性心房細動の新たな治療法の開発へ臨床的応用を目指した。 持続性心房細動における肺静脈隔離後の左心房内低電位領域の割合は、約97%の患者で、20%以下であり、左房拡大にもかかわらず実際は軽度であった。再発群と非再発群間で、最大高周波数の値と、渦巻き型旋回興奮波の出現頻度に有意差を認めなかった。低電位領域は、中隔、前壁、下壁に多く認めた。遅延ガドリニウム造影MRIによる心房の傷害心筋・繊維化の解析については、左房筋が薄いためその描出が難しく、正確な部位の同定が難しいことが判明した。渦巻き型旋回興奮波の出現頻度については、持続性心房細動において肺静脈隔離後も多く認めるが、再発・非再発群で有意差を認めなかった。マッピング領域が広いため、精度が低くなった可能性がある。低電位領域のカットオフ値が3.3%と低いが、低電位領域とその高周波数部位とのoverlap部位が、再発・非再発群で有意差を認めた。心房の傷害心筋・繊維化において、高周波数部位が心房細動の駆動源を表すと考えられる。持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションにおいて、高周波数部位が、至適焼灼部位の候補であり、周波数解析を用いた心房細動基質の同定が予後の改善効果を向上できるかどうか、周波数解析を行い、高周波数部位焼灼群と高周波数部位非焼灼群を無作為に2群に割り付けし、有効性と安全性を多施設共同研究にて現在進行中である。
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