研究課題/領域番号 |
20K08511
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
関根 郁夫 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10508310)
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研究分担者 |
野口 雅之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00198582)
鈴木 絢子 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00770348)
鈴木 穣 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40323646)
鈴木 敏夫 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70771856)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | シングルセル解析 / 肺構成細胞 / VISTA |
研究実績の概要 |
F2-isoprostanesは細胞膜やリポ蛋白に含まれるリン脂質が フリーラジカルにより酸化されて形成されるプロスタグランジン様の化合物だが、Thromboxane-Prostanoid Receptor signaling activationを介してがTGF-β signalingの上流を制御し、肺線維症の線維芽細胞の活性化維持機構へ深く関与していることを報告した(Suzuki T, et al. Am J Respir Crit Care Med 2022)。同現象はマクロファージ上に存在するTPr signalingを介してもpulmonary fibroblast activationが起こることを確認した。 ブレオマイシン肺線維症モデルおよびヒト線維化肺を用いて作成したPulmosphereを用いた検証では、TPr signalをTPr antagonistで抑制すると、マクロファージVISTAの発現が低下することが明らかになり、TPr singlalingの下流にVISTA signalが位置していることが示唆された。さらに、VISTA signalの抑制によってM2 polarizationが抑制されることも確認した。一方、TPr antagonistによる治療では、pro-inflammatory markerの上昇は確認されず、現行の肺癌免疫療法の際に問題となる肺臓炎、あるいは間質性肺炎急性増悪の問題を解決できるシグナル経路であることが示唆された。 以上の現象をhuman sampleでも確認するべく、single cell RNAseqを実施したが、cell dissociationした際に発生する特定の細胞腫へのダメージが大きく、cell dissociationを必要としないVisium in situでの解析を実施した。しかし、FPE検体で実施できるVisium in situでは免疫細胞と他肺構成細胞の検出が同一プロットに出てしまう問題が生じたことから、他のモダリティでの探索が必要と判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウイルス感染症の蔓延により当院における症例に変化が見られ、肺線維症を伴った肺癌の手術症例が減ったため
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今後の研究の推進方策 |
既に取得しているデータを参考に、慢性炎症/線維化が背景になっている非癌部から癌部への移行部において、VISTA発現を有するマクロファージと周囲線維芽細胞のcell cell interactionをXenium in situ及びPhenoCycler多重免疫染色で空間的なアプローチで解析検討し、全体を通じて本研究のまとめを作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:当初考えていたよりもcell dissociationした際に発生する特定の細胞腫へのダメージが大きく、研究計画の変更が必要になったこと、FFPE検体で実施できるVisium in situでは免疫細胞と他肺構成細胞の検出が同一プロットに出てしまう問題が生じたことから、他のモダリティでの探索が必要となったため。 使用計画:既に取得しているデータを参考に、VISTA発現を有するマクロファージと周囲線維芽細胞のcell cell interactionをXenium in situ及びPhenoCycler多重免疫染色で空間的なアプローチで解析検討し、全体を通じて本研究のまとめを作成する予定である。
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