研究課題
本研究期間では、予めCOPDモデルマウスの作出およびワクチン抗原の作出を実施した。次に、COPDモデルマウスにcCHPナノゲル経鼻ワクチンによる免疫を実施し、誘導されてくる抗原特異的抗体をELISA解析した結果、ハイブリッド抗原特異的なIgGが血中や肺洗浄液中に誘導されること、同様に抗原特異的な分泌型IgAが鼻腔洗浄液中に誘導されることが確認された。次に、cCHPナノゲル経鼻ワクチンによるCOPD増悪抑制効果を解析するため、COPDモデルマウスにおいて、経肺感染でコントロールしやすいNTHi感染試験から着手した。COPDモデルマウスにcCHPナノゲル経鼻ワクチンを投与し、特異的抗体価が誘導されていることを確認後、2.5×10e6 CFUのNTHiを経肺感染させた。感染後1日および2日において肺組織を摘出し、組織中の細菌数をチョコレート寒天上のコロニーにて計測した。一方、肺組織中に浸潤する細胞を、細胞表面マーカーを指標にFACS解析した。その結果、感染後2日にかけて、COPD未免疫マウスの肺組織中にNTHiが多く検出されたが、ワクチン投与マウスでは、比較的細菌数が減少している傾向が観察された。次に、肺の炎症の指 標となる好中球の浸潤レベルを見ると、野生型マウスに感染させた条件と比べ、COPDによる炎症増大は観察されず、さらにワクチンによる浸潤抑制効果も見られなかった。一方、漏出マクロファージにおいては、特にNTHi感染2日目において、野生型マウスにおける感染状況に比し、感染後のCOPDマウスにおいて浸潤数が増したが、ワクチン投与マウスでは野生型レベルまで抑えられていることがわかった。すなわち、cCHPナノゲルによる経鼻ワクチンが、COPDモデルマウスにおいて、感染後の細菌数を減少させ、肺における炎症増大を抑える可能性があることが示唆された。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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