本研究は重症・難治性呼吸器感染症である重症市中肺炎、術後肺炎、肺Mycobacterium avium complex (MAC)症患者検体を用いて実施した。市中肺炎と術後肺炎間ではリンパ球と好中球数の動態が生存例と死亡例では異なり、市中肺炎予後不良例では予後良好例に比べて、活性化マーカーの発現がT細胞上でより多くみられたが、共刺激分子の発現が予後不良例では低下した状態で推移していた。肺MAC症ではT細胞上の共抑制分子の発現が健常人よりも高頻度にみられ、細胞分化やサイトカイン分泌に関わる転写因子の発現にも差があった。肺MAC症では罹病期間が長期になると免疫細胞機能が低下する傾向がみられた。
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