研究課題
まずマウス骨髄中ALDH高発現細胞(ALDHbr)が20%であることを確認した。また血球マーカーCD45陰性骨髄細胞中にはALDHbrがほぼ存在しない。成熟血球マーカーの抗体カクテルであるLineage(Lin)陽性/陰性別の検討では双方に一定のALDHbrが認められ、Lin+ALDHbrとLin-ALDHbrをそれぞれ採取し肺線維症マウスに投与したところ、Lin-ALDHbr投与マウスでのみ肺線維化が抑制された。また、メスLin-ALDHbrをメスマウスに投与した場合にのみ線維化が抑制されることを明らかとした。すなわち、オス→オスやメス→オスの組合せで線維化は抑制されない。引き続きメス→メスの組合せでのみ線維化が抑制される理由、および線維化抑制機序の2点を解明すべく検証実験を行った。まず、オス、メス双方から骨髄Lin-ALDHbrを採取しRNA-seqを用いて比較したところ、メスでは抗酸化ストレス関連遺伝子が高発現していた。in vitroでH2O2による酸化ストレス刺激を加えると、メスLin-ALDHbrの生存率はオスと比べて高く維持され酸化ストレスに耐性を有することが示唆された。次に、メスLin-ALDHbrを投与した線維化肺を採取しRNA-seqを行ったところ、対照群と比較しグルタチオン、NACなど抗酸化作用を示す遺伝子発現が高く、タンパクレベルにおいてもグルタチオンが高値を示した。以上の結果からは、Lin-ALDHbrがブレオオマイシン肺線維症における酸化ストレスを軽減し線維化が抑制されること、およびメスLin-ALDHbrは酸化ストレス耐性が高く、自身の生存を高める最大効果が発揮されることが示唆された。これらの結果はヒト臨床試験においてALDHbrが動物実験で期待されたほどの十分な有効性を発揮できなかった原因の解明につながる可能性がある。
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