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2022 年度 実績報告書

複合的オミクス解析を用いて探る、肺胞微石症の分子病態と新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K08521
研究機関札幌医科大学

研究代表者

齋藤 充史  札幌医科大学, 医学部, 講師 (00768939)

研究分担者 藤谷 直樹  札幌医科大学, 医学部, 助教 (10374191)
高宮 里奈  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (70365419)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード肺胞微石症 / オミクス解析
研究実績の概要

近年、生体分子を網羅的に解析するオミクス解析の技術が急速に進展し、糖尿病、癌などの領域で有用な分子標的が数多く見つかっている。しかし希少疾患においては対象が限られることや予算の関係からオミクス解析の報告は極めて限定される。本研究では、申請者らが経験豊富なオミクス解析技術と肺胞微石症マウスモデルを用い、病態の分子基盤の解明・確立と臨床に直結するトランスレーショナルな成果を創出する。本研究の結果、当該技術が他の希少肺疾患の病態の分子基盤に関する研究の現状を打破する先駆技術と位置づけられ、希少難治性呼吸器疾患克服研究の推進に貢献することを目指して本研究を遂行した。
リン吸着剤の内服はこれまでに報告した低リン食療法と同様に十分に病態を改善する効果が得られた。一般に、リン摂取量とタンパク質摂取量は相関することから、タンパク質摂取量を減らさずにリン摂取量を減らすことができる点が今後のヒトへ応用により有効であると考えられた。次世代シークエンサーを用いたリピドミクスの手法で本疾患における肺の脂質代謝について解析をおこなった結果、15週齢のNpt2b欠損マウスの肺では、炎症により誘導されるCyclooxygenase (COX)-2の発現が亢進していた。またリピドミクス解析の結果、Npt2b欠損マウスではCOX-2の上流にある高度不飽和脂肪酸(Arachidonic acid,EPA, DHAの産生量がいずれも亢進していた。これらの現象はクエン酸第二鉄を投与した場合、肺内の微石の蓄積が顕著に低下とともにCOX-2の発現の低下や高度不飽和脂肪酸の低下も認められた。以上の結果から、Npt2bの欠損は肺内に微石の蓄積とCOX-2の発現上昇に伴う炎症性脂質メディエーターの産生亢進をもたらすが、これらはリン吸着剤の投与により抑制できることがわかった。
以上、本研究で肺胞微石症の病態がさらに明らかとなった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 肺胞微石症の病態と今後の治療戦略について2022

    • 著者名/発表者名
      齋藤充史
    • 雑誌名

      日本肺サーファクタント・界面医学会雑誌

      巻: 53 ページ: 23-23

  • [学会発表] 長期フォローアップできた肺胞微石症の一例とマウスモデルを用いた病態解析2022

    • 著者名/発表者名
      横田基宥、齋藤充史、池田貴美之、黒沼幸治、千葉弘文
    • 学会等名
      第62回日本呼吸器学会学術講演会

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公開日: 2023-12-25  

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