研究課題/領域番号 |
20K08522
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
新實 彰男 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (30252513)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 慢性咳嗽 / 喘息 / 胃食道逆流症 |
研究実績の概要 |
ICS/LABA抵抗性の当科喘息性咳嗽患者を対象とするチオトロピウムvsテオフィリン製剤の前向きランダム化試験で、チオトロピウム群38例で有意な咳症状と咳受容体感受性の有意な改善効果が得られた。咳症状の改善度は、咳受容体感受性の亢進程度に規定された(Fukumitsu K et al. Ann Asthma Allergy Immunol 2023 Jul;131(1):59-68.e3)。日本アレルギー学会の「喘息予防・管理ガイドライン2021」の英語版Executive Summaryを、ガイドライン作成部会の部会長として執筆した(Niimi A et al. Allergol Int 2023 Apr;72(2):207-226)。咳嗽部門の委員長として関わっている「咳嗽と喀痰の診療ガイドライン2024」におけるシステマティック・レビュー作業の産物である、喘息におけるマクロライド療法の有用性と安全性(メタ解析結果)をシステマティック・レビューチームとともに報告した(Fukuda Y et al. Respir Invest 2024Mar;62(2):206-215)。当科重症喘息患者におけるバイオ製剤デュピルマブの有用性に関する前向き観察研究を、咳や痰(気道過分泌)への有効性を主眼において報告した(Tajiri T et al. Allergol Int 2024 Mar 11:S1323-8930(24)00016-9)。当科重症喘息患者におけるバイオ製剤の咳受容体感受性に対する有用性を後ろ向きに解析し、抗IL-5製剤((ベンラリズマブ、メポリズマブ)がその他の製剤(オマリズマブ、デュピルマブ)と比較して有意に改善させることを報告した(Ito K et al. Ann Asthma Allergy Immunol 2023 Aug;131(2):203-208.e1)。当科重症喘息患者12例において、気管支熱形成術が咳と咳受容体感受性亢進を改善させたことを報告した(Nishiyama H et al. Respir Med 2023 Sep;216:107303)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前向き研究の対象患者を、現在までに28例を集積した。コロナ禍の受診控えの影響が続いており、良性疾患である慢性咳嗽の患者が専門施設への受診を控えている印象がある。
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今後の研究の推進方策 |
クリニックなどの近隣医療機関や当教室の関連施設への呼びかけや、外勤先医療機関からの患者リクルートにより更なる新規患者の集積に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例の集積が遅れ、バイオマーカー測定用の試薬の消費が進まなかったこと。2023年までのコロナ禍の影響で海外出張旅費の支出が減少したこと。
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