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2023 年度 実施状況報告書

小細胞肺癌における酸化ストレス応答系の破綻機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K08524
研究機関順天堂大学

研究代表者

光石 陽一郎  順天堂大学, 医学部, 助教 (10647001)

研究分担者 白石 友一  国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (70516880)
林 大久生  順天堂大学, 医学部, 准教授 (70569128)
高橋 和久  順天堂大学, 医学部, 教授 (80245711)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード小細胞肺癌 / 酸化ストレス応答経路 / Keap1-Nrf2経路
研究実績の概要

本研究は小細胞肺癌(SCLC)における新規ドライバー遺伝子異常の検証と治療標的の開発を目的としている。これまでの進捗は順調であり、特に変異型KEAP1に関する仮説の証明に焦点を当てて研究が進められている。
研究開始以来、SCLC細胞株におけるKEAP1遺伝子のvariant isoformの存在が確認された。これにより、酸化ストレス応答系の破綻がSCLCの腫瘍形成における新たなドライバー遺伝子異常として機能する可能性が示唆されている。この発見は、SCLCの治療標的としての新しい展望を開くものであり、臨床への応用に向けてさらなる検証が求められる。
また、RNAseqデータを用いてSCLCおよび他のがん種の細胞株におけるKEAP1の異常を比較検討し、変異型KEAP1がNRF2を恒常的に活性化するメカニズムの解明が進められている。この過程で、変異型KEAP1発現細胞株の作成とその機能解析が行われ、NRF2の活性化が細胞増殖および抗癌剤耐性にどのように寄与しているかが明らかにされた。
現段階での成果は、基礎研究としてのみならず、実際の臨床応用に向けた基盤となる知見を提供している。今後は、変異型KEAP1のさらなる機能解析を深め、SCLC患者に対する新規治療法の開発に貢献することを目指す。以上の通り、本研究は目的に沿って順調に進行しており、これまでの成果に基づき、次の段階へと進むためのさらなる研究が必要である。研究を引き続き専念し、期待される成果を実現する所存である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は小細胞肺癌(SCLC)の新規ドライバー遺伝子異常を特定し、治療標的の開発を目指している。これまでの進捗状況は概ね順調であり、その理由は以下の通りである。
まず、研究の基盤となる実験体系の構築が計画通りに進行している。特に、変異型KEAP1を安定的に発現する細胞株の作成が成功し、これを用いてNRF2の活性化機構の解析を進めることができた。この細胞株を用いた実験から、変異型KEAP1がNRF2の恒常的な活性化を引き起こし、これが細胞増殖や抗癌剤耐性に寄与することが明らかになった。この成果は、SCLCの治療標的としての可能性を示唆しており、研究の進行において重要な節目となる。
次に、大規模な遺伝子解析を通じて、他のがん種との比較研究も進行中である。この解析により、SCLC特有の遺伝子異常の特徴が明らかになりつつあり、これが今後の治療法開発の方向性を定める上で重要な情報を提供している。さらに、臨床サンプルを用いた実験も予定通りに進んでおり、実際の患者標本においても変異型KEAP1の存在と活性状態を確認できている。
また、研究チームの協力体制も良好である。研究代表者と研究分担者間の連携が密に行われており、それぞれの専門知識を活かした効率的な研究進行が可能になっている。このようなチームワークは、多角的かつ迅速な問題解決を可能にしており、研究の進捗に寄与している。
以上の点から、本研究は概ね順調に進行しており、これまでの成果が次の研究ステップへの確かな基盤を築いている。

今後の研究の推進方策

本研究は小細胞肺癌(SCLC)における新規ドライバー遺伝子異常を特定し、それをターゲットとする治療法の開発を目指している。今後の研究推進方策は、以下のように計画されている。
まず、変異型KEAP1によるNRF2の恒常的な活性化がSCLCの腫瘍形成にどのように寄与しているかの詳細なメカニズムの解明を深める。これには、変異型KEAP1を持つ細胞株における遺伝子発現の変化や代謝プロファイルの分析が含まれる。また、これらの細胞株を用いた薬剤感受性試験を行い、特定の分子標的薬に対する感受性が変異型KEAP1の影響を受けるかどうかを検証する。
次に、研究の臨床への応用を見据え、既存の臨床データベースとの連携を強化する。特に、SCLC患者から得られたサンプルを用いた大規模な遺伝子解析を行い、変異型KEAP1の頻度やその他の関連遺伝子変異との関連性を調査する。これにより、変異型KEAP1がSCLCの予後にどのように影響を与えるかの理解を深める。
さらに、研究成果の論文化を積極的に進める。研究データを定期的に整理し、国内外の学術雑誌に研究論文として投稿する計画である。また、国際的な学会にも積極的に参加し、研究成果を発表することで、世界中の研究者との交流を図り、さらなる研究の協力関係を築く。
このように、実験的な検証だけでなく、臨床応用への橋渡し、研究成果の論文化を総合的に行うことで、SCLC治療の新たな道を切り開くことを目指している。

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公開日: 2024-12-25  

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