• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

肺MAC症におけるバイオマーカーCXCL10の有用性について

研究課題

研究課題/領域番号 20K08536
研究機関新潟大学

研究代表者

茂呂 寛  新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (40509452)

研究分担者 高田 俊範  新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (40361919)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード肺MAC症 / 非結核性抗酸菌 / CXCL-10
研究実績の概要

肺MAC (M.avium complex) 症は近年増加傾向にあるが、疑い例において喀痰検体が得られず、診断基準に沿った確定診断に至らない場面が多く経験される。また、確実な効果を期待できる治療法が確立されていないことから、長期にわたる管理が必要とされるが、病勢を評価する客観的な指標を欠いたまま、その後の治療方針が各々の主治医の判断に任されている実情がある。申請者が取り組んできた研究課題で、肺MAC症の宿主における液性因子を網羅的に解析した結果、炎症性ケモカインCXCL10(C-X-C motif chemokine 10)が肺MAC症の病態に深く関与し、その動態が病態を反映している可能性を示すことができた。本研究はこの成果を発展させる形で、① MAC特異抗原刺激によるCXCL10遊離試験は肺MAC症の診断に有用である、② 血中CXCL10濃度は肺MAC症の重症度を反映し、治療効果判定、治療開始と終了の判断に有用なバイオマーカーである …という仮説を立て、基礎と臨床の両面から研究を進めている。本研究の目的は肺MAC症の診療における課題の克服であり、具体的には以下の2点である。① MAC特異抗原刺激によるCXCL10遊離試験~喀痰検査に依存しない肺MAC症の補助的診断法の確立、② CXCL10の血中濃度に基づいた重症度評価と、予後予測、治療開始と終了の判断、治療効果の判定への応用。これらの目的が達成されれば、肺MAC症の診療における長年にわたる問題点が解消され、実臨床におけるより適切な肺MAC症の管理と、患者の負担軽減に結びつく成果が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新潟大学医歯学総合病院(新潟市, 827床)に通院中で肺MAC症と診断が確定した20歳以上の成人例の中から、対象となる症例を抽出し、電子カルテの情報に基づき、臨床背景として年齢、性別、併存疾患、肺MAC症に対する治療歴、使用薬、画像所見について調査した。肺MAC症の診断は我が国の基準 [結核病学会, 2008]に準拠する。肺MAC症の予後不良因子 [Hayashi M, 2012] を念頭に、ベースラインの身体所見(身長、体重、BMI)、呼吸器症状(MRCスケール)、呼吸状態(酸素飽和度/酸素分圧)、喀痰所見(排菌の量)を調査した。

今後の研究の推進方策

登録症例の中から、追加の血液検査について改めて同意が得られた被験者の末梢血を採取し、MAC特異抗原で刺激した後に、単球より遊離されるCXCL10をELISA法で測定する。これにより、肺MAC症例でCXCL10が上昇するようであれば、診断法への応用が期待される。

次年度使用額が生じた理由

今年度は対象症例の抽出および電子カルテ上の内容に基づいた情報収集が活動の中心であったため、血液検体解析の際の試薬などのコストが発生しなかった。この分を、今年度以降の活動に充当する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [学会発表] 慢性閉塞性肺疾患と抗酸菌症2021

    • 著者名/発表者名
      茂呂寛
    • 学会等名
      第70回日本感染症学会東日本地方会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 深在性真菌症における(1→3)β-D-グルカン検査の活用を考える2021

    • 著者名/発表者名
      茂呂寛
    • 学会等名
      第57回日臨技関甲信支部・首都圏支部医学検査学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 感染症における鉄調節因子ヘプシジン-25の動態2021

    • 著者名/発表者名
      茂呂寛
    • 学会等名
      第61回 日本臨床化学会年次学術集会
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi