研究課題/領域番号 |
20K08542
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
軒原 浩 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, センター病院, 呼吸器内科 医長 (00505919)
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研究分担者 |
大塚 憲司 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (70776856)
三橋 惇志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任助教 (00833732)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 線維細胞 / 血管新生 / 免疫チェックポイント / CXCLケモカイン / 薬剤耐性 |
研究実績の概要 |
本研究は、血管新生阻害薬の効果予測や耐性のバイオマーカーとしての線維細胞の可能性を検討し、個別化治療に利用できるバイオマーカーの開発を目指すことを目標としている。本研究の基礎的検討としてマウス皮下移植モデルを用いて血管新生阻害薬耐性のバイオマーカーの探索、腫瘍免疫において線維細胞が果たす役割についての解析、抗programmed death ligand 1 (PD-L1)抗体による腫瘍抑制効果と腫瘍内新生血管への影響を検討した。その結果、線維細胞はPD-L1を含む免疫チェックポイント分子を発現していること、抗原提示細胞としての機能を有すること、抗PD-L1抗体によって抗原提示能が増強されることを明らかにした(J Immunol. 2021)。さらに、抗血管内皮増殖因子抗体は腫瘍浸潤性線維細胞を増加させ、抗PD-L1抗体の抗腫瘍効果をin vivoで増強させること、線維細胞クラスターは共刺激分子を高発現すること、腫瘍浸潤性線維細胞のCD8+T細胞共刺激活性は抗PD-L1抗体によって増強されること、腫瘍周囲への線維細胞移植によりin vivoでの抗PD-L1抗体の抗腫瘍効果を増強すること、腫瘍浸潤性がtransforming growth factor β/small mothers against decapentaplegicシグナルを通じて筋線維芽細胞様の表現型を獲得することを明らかにした(Cell Rep. 2023)。一方、抗PD-L1抗体はIFN-γ反応性の腫瘍由来CXCLケモカインの分泌を介して管腔を有する腫瘍血管新生を阻害することも明らかにし、Ⅳ期の非小細胞がん患者で初回治療として抗PD-1抗体治療を受けた17例において治療前の血清中CXCLケモカイン濃度と無増悪生存期間との相関を確認した(Cancer Sci. 2021)。
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