研究実績の概要 |
ストレッチ、圧縮、ずり応力、基質硬度などの機械的刺激(メカニカルストレス)は、呼吸器の発達、生理機能と恒常性の維持に必要不可欠である。一方で過剰なストレッチや圧縮負荷、基質硬化などのメカニカルストレスは、気管支喘息、COPD、肺線維症、人工呼吸器関連肺損傷、肺癌を含む多くの呼吸器疾患の病態機序に関わる因子として注目されている。しかしながら、呼吸器系接着細胞におけるメカニカルストレスを感知するメカノセンサーは十分解明されていない。 機械感受性Ca2+チャネルとして発見されたPiezo1 (Coste B, et al., Science 2010)に着目し、培養ヒト気道平滑筋細胞および培養ヒト肺線維芽細胞を用いて検討した。 気道平滑筋細胞および肺線維芽細胞のいずれにもPiezo1のmRNA発現が確かめられた。肺線維芽細胞に関しては、Piezo1に対するsiRNAの導入により、Piezo1 mRNAの発現がほぼ完全に抑制されることが確かめられた。 研究代表者らは、いずれの細胞も伸展刺激に応答して細胞内へのCa2+流入や細胞外へのATP放出を来すことを報告している(Ito S, et al., Am J Respir Cell Mol Biol 2008, Takahara N, et al., Am J Respir Cell Mol Biol 2008, Murata N, et al., Biochem Biophys Res Commun 2014, Takahashi K, et al., Respir Physiol Neurobiol 2017)。これらの細胞応答におけるPiezo1の役割について検討を行っている。
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