研究課題/領域番号 |
20K08556
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研究機関 | 独立行政法人労働者健康安全機構 日本バイオアッセイ研究センター(試験管理部、病理検査部) |
研究代表者 |
山野 荘太郎 独立行政法人労働者健康安全機構 日本バイオアッセイ研究センター(試験管理部、病理検査部), その他部局等, 室長補佐 (80614528)
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研究分担者 |
杉原 英志 藤田医科大学, オープンファシリティセンター, 准教授 (50464996)
七野 成之 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 助教 (70822435)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 塵肺 / 結晶質シリカ / 酸化インジウムスズ / TAS-Seq / シングルセル解析 / 呼吸器疾患 / 肺疾患 / 肺胞蛋白症 |
研究実績の概要 |
じん肺は粉じんによって誘発される日本最大の職業性肺疾患であり、肺線維症のみならず肺がんを合併する事が問題となっている。 本研究の目的は、高感度シング ルセル解析技術を駆使し、じん肺の各病態発症-進展過程における構成細胞と異常な細胞間コミュニケーションの特定を時空間軸に沿って俯瞰的に明らかにし、 労働安全衛生に資するじん肺の基盤的な研究成果を提供することである。 2022年度では、シングルセル解析を進めた。溶媒対称群3匹、シリカ投与群3匹、SITO投与群3匹の合計9匹より品質チェックを通過した合計30972細胞についてシーケンシングした。tSNEを用いて次元削減図を作成した結果、合計43クラスターが同定され、大部分はPtprc陽性免疫細胞であった。肺胞上皮に着目し、再解析した結果、合計7つのクラスターが同定され、そのうち6つはSftpc/Abca3陽性の肺胞2型上皮であり、1つはPdpn/Ager陽性肺胞1型上皮出会った。じん肺群では、対照群と比較して1つのクラスターがドミナントに存在しており、これらの結果からラットじん肺特異的な肺胞上皮が存在する事が明らかとなった。現在は、これらの細胞を中心にGO解析などを進めるとともに、特異的な発現分子の同定、及び分子のIHCにより、各種解剖期においての時空間的局在と機能をさらに検討中である。 今回の研究成果より、じん肺を構成する特徴的な新規細胞群の同定に成功した。今後、これらの細胞群の機能や制御様式を明らかにする事により、労働安全衛生に資するじん肺の基盤的な研究が加速する事が期待される。
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