研究課題/領域番号 |
20K08557
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小川 浩正 東北大学, 事業支援機構, 教授 (90361162)
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研究分担者 |
黒澤 一 東北大学, 事業支援機構, 教授 (60333788)
色川 俊也 東北大学, 事業支援機構, 教授 (70375179)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 拡散能 / ガス交換 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は これまで測定が困難であった安静呼吸下で実施可能なO2拡散能測定方法を確立し,肺O2拡散能を安静呼吸で測定する機器の開発である。研究初年度である2020年度は、O2拡散測定回路の構築を行いました。吸気呼気部分の死腔容積が、1回吸気時にのみ高濃度O2ガスを負荷させるためには問題となり、デマンドバルブを使用して解決をこころみました。2021年度の今年度は、まず、デマンドバルブで、吸気前の呼気中に吸気回路部分に目的とするガスを充満させることで、死腔容積をできるだけ小さくできることを確認しました。モニタリング指標として、回路内O2、CO2、換気量、酸素飽和度を設定しました。デマンドバルブ、ベースの、室内気または30%O2+N2バランスガス、デマンドバルブによって、ガス負荷ガスの40%O2+N2バランスガス、60%O2+N2バランスガス、80%O2+N2バランスガスの4種のガスをコントロールすることとし、健常者8名に対して、ベースガスを30%O2ガスもしくは室内気とし、80%O2ガス、60%O2ガス、40%O2ガスを、ベースガスで呼吸が安定したところで、1回吸気負荷を行い、測定記録しました。また、同時に、一般臨床に使用されているCOガスを用いる肺拡散能検査装置を使用し、1回呼吸法によるCO拡散能値を、スパイログラムと共に測定記録しました。測定時の問題点として、室内気以外は乾燥ガスとなり測定中の口腔内乾燥があげられました。口腔内乾燥に対しては加湿を検討することとしました。また、感染対策として、フィルターをもちいているものの、被検者呼気に触れる可能性のある回路部分に関しては、複数用意し、被検者ごとに交換し、測定を行う必要があり、交換回路製作をおこないました。現在、測定データを用いて、肺O2拡散能値算定式を構築中であり、今後、回路に組み込み予定としました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2年目は、構築した回路をもちいて、肺O2拡散能値算定式を構築し、測定機器として完成させ、呼吸器疾患患者を中心に測定データを積み上げていく予定としていましたが、測定時の回路の一部、感染対策上、被検者ごとに交換する必要があり、その交換部品製作に時間がかかったこと、また、算定式構築のところで時間がかかっており、構築した算定式組み込みができず、年度末までに完成に至りませんでした。そのため、被検者測定のための測定装置を追加製作予定が年度内に行えませんでした。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2022年度は、2021年度に測定したデータから、O2拡散能の測定方法、算定方法を構築し、測定プロトコールを確立し、機器に組み込み、測定装置を完成させる予定です。倫理委員会に申請し、拡散障害を有する呼吸器疾患患者を中心に測定をおこなっていくこととしています。
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次年度使用額が生じた理由 |
O2拡散能値算定式の構築に時間がかかっておりまして、当初、2021年度内に、機器に組み込み、測定装置を完成させ、被検者測定のために、もう1台同型装置を製作予定としていたところが、年度内におこなえず、製作のために計画していた予算を年度内に使用することができませんでした。そのため、残額が発生してしまいました。21年度内に製作する予定であった機器については、O2拡散能値構築次第、すみやかに、2022年度中に製作する予定とし、21年度残額を製作費に充てる予定です。また、感染対策として、被検者呼気に暴露される回路部分に関して、その交換ユニットを複数製作する必要があり、その製作費用にもあてることとしています。
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