研究課題/領域番号 |
20K08565
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
淀谷 典子 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (40525367)
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研究分担者 |
丸山 一男 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (20181828)
西村 有平 三重大学, 医学系研究科, 教授 (30303720)
澤田 博文 三重大学, 医学系研究科, 講師 (30362354)
三谷 義英 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (60273380)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肺高血圧 / トランスクリプトーム / 動物モデル |
研究実績の概要 |
肺動脈性肺高血圧(PAH)は、予後不良の難治性の病態であり、近年のプロスタサイクリン系、エンドセリンレセプター拮抗薬、ホスホジエステラーゼ5型阻害薬などの治療薬の開発により予後の改善が認められるが、これら薬剤の血管病変退縮効果は示されておらず、疾患治癒のためには閉塞病変退縮に向けた新たな治療標的が必要である 本研究では、肺動脈性肺高血圧(PAH)の血管病変において、特に新生内膜形成に関わる遺伝子制御を明らかにし、新生内膜をターゲットとした新規治療の開発を目指している。ヒトPAH類似の新生内膜病変を呈するラットPAHモデルと新生内膜形成のないラットPAHモデル(慢性低酸素)の肺におけるトランスクリプトームを比較解析し、標的遺伝子の同定を試みた。トランスクリプトームの比較解析から、発現の異なる遺伝子(DEG)を選出し、さらに共通して変化するDEGにおいて共発現遺伝子の加重遺伝子ネットワーク解析(Weighed Gene Co-Expression Network Analysis, WGCNA)を実施し、肺高血圧の新生内膜形成に関連する候補標的遺伝子を同定した。解析の結果、細胞接着分子A、炎症関連分子Bを同定した。分子A、分子Bは、ラット肺高血圧モデルで発現が確認された。炎症関連分子Bについて、ゲノム編集によりノックアウトラットを作成し、その表現系を解析を行った。分子Bノックアウトラットでは、モノクロタリン誘発ラットの生存率が低下し、高度の肺血管病変を認めた。さらに、作成したラットから血管平滑筋を分離培養し、分子Bの機能解析を行ったところ、増殖能、平滑筋の分化状態維持に重要であることが示された。これらの解析から肺動脈性肺高血圧における、分子Bの新たな治療標的としての可能性を示す有望な知見を得た。
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