研究課題
rasがん遺伝子産物Rasの標的蛋白質の一つであるホスホリパーゼCε (PLCε)は当研究科が発見し、セカンドメッセンジャーの産生を通じてシグナル伝達に関与し、またNF-κBを介する炎症や発がんに関与することを報告してきた。PLCεは炎症性疾患や炎症を介するがんの有望な分子標的として注目されてきており、世界に先駆けて創薬に向けた研究を進めているところである。本研究は、PLCεを介した呼吸器疾患の新たな発病機序を、炎症性疾患である気管支喘息とK-ras遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)という二つの疾患モデルを用いて多面的に明らかにし、呼吸器疾患の新たな治療戦略を構築することを目的とする。ras誘導性のがんはヒトの悪性腫瘍の約20%と極めて高頻度に認められている。本研究成果は気管支喘息やNSCLCの新規治療法の開発に寄与するだけでなく、多くの炎症性疾患とK-ras遺伝子変異が関与する複数のがん種に応用展開され、生命予後を改善しうるものとして期待される。今回の研究で、申請者の施設で飼育しているPLCεのノックアウト(KO)マウスと、三重大学の鈴木昇准教授より提供を受け飼育を開始しているLSL-K-ras(LoxP-STOP-LoxP-K-RasG12V)マウスを交配させ、PLCε遺伝子改変K-ras(LSL-K-rasG12V/PLCεΔx/Δx)マウスモデルを作成した。また、ルイス肺がん由来細胞株(LLC)による皮下移植マウスモデルを作成し、PLCεのKOマウスで、腫瘍の増殖が遅く、生存率も良い傾向があることを明らかにした。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 8件)
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