研究課題/領域番号 |
20K08569
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
籾 博晃 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (90794157)
|
研究分担者 |
井上 博雅 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30264039)
高木 弘一 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (40707866)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 気管支喘息 / 自然リンパ球 / フコシル化 / 糖鎖 / IL-22 / オゾン |
研究実績の概要 |
気管支喘息にはTh2リンパ球による獲得免疫の他に、自然リンパ球による自然免疫の関与が指摘されている。本研究では、喘息の病態における自然リンパ球の関与について、気道上皮における糖鎖修飾に着目し、気道上皮に起きて自然リンパ球が誘導する糖鎖修飾が気管支喘息の制御に関与している可能性を明らかにし、難治性気管支喘息の新規治療標的を同定することを目的にする。 気道上皮における糖鎖修飾について、以前より進めている気道上皮由来の肺癌細胞を含めた培養細胞を用いて解析を行った。気道上皮を患者から直接採取する手技として気管支鏡検査があるが、患者への侵襲が強い。そのため、侵襲の少ない方法として、喀痰や血液検体から癌細胞由来の細胞外小胞(エクソソーム)を採取することで直接の気管支生検に代用できるか検討を行い、エクソソームに発現する糖鎖構造より由来する癌細胞が特定できることを示した。 前年度にpapainやHDMを用いた気管支喘息モデルマウスを使用して研究を行ったが、気管支洗浄液や肺組織中のILC3の細胞数が少数で解析が困難であった。そのため、好中球性炎症の強い気管支喘息モデルマウスを作成する必要があり、オゾン曝露による気管支喘息モデルマウスを作成し実験を行い解析を進めている。また、前年度に引き続き前述の癌細胞の研究で培った糖鎖解析の手技を用いて、気道上皮の培養細胞やマウス肺組織での解析を進めている。気道上皮の培養について、より生体に近い状態を再現できるAir Liquid Interface培養を用いた解析を新たに進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
マウス肺組織よりフローサイトメトリーで抽出されるILC3について、papainモデルやHDMモデルで十分な細胞数を得られず、オゾン曝露を用いた気管支喘息モデルに変更しての解析を行っている。また、より生体に近い気道上皮細胞の状態が獲得できるAir Liquid Interface培養を用いた解析を新たに進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
オゾン曝露で作成した気管支喘息モデルマウスから採取した気管支肺胞洗浄液と肺組織を用いての糖鎖解析を進める。気管支肺胞洗浄液、肺組織から抽出したILC3におけるサイトカインについて、IL-22以外のサイトカインについても網羅的に解析を行い、治療標的となりうるサイトカインについて、気道上皮細胞の糖鎖構造の変化を起こすか確認を行う。変化を認めた糖鎖構造について、その変化を再現できるグルコシダーゼを用いて喘息の病態が変化するか喘息モデルマウスを用いて検討を行う。
|