研究課題
肺内に豊富に存在する肺サーファクタント蛋白質は、様々な細菌と結合し下気道の自然免疫・感染防御の役割を担っている。マイクロバイオーム解析の進歩に より、肺における微生物叢のホメオスタシス変化と様々な疾患との関連に注目が集まっている。高齢化に伴い繰り返す感染や慢性的な肺損傷による肺サーファク タント蛋白質の喪失は肺内微生物叢環境に異常をもたらすと考えられる。 肺サーファクタント蛋白質のうちSP-AとSP-Dは様々な細菌、真菌の菌体成分に結合 し、オプソニン効果やToll様受容体を介した炎症制御、肺胞マクロファージ の活性化などの働きがあり、炎症を制御する。申請者らはこれまで、SP-AとSP-Dが 肺炎球菌感染に対し、抗炎症作用と抗菌活性を有することを報告している。申請者らが報告した特発性肺線維 症における肺マイクロバイオームのDysbiosisは疾 患予後とも密接に関連している。マウスのBAL液のマイクロバイオームを検討したところ、25週齢のSP-A欠損マウスで多様性喪失(Dysbiosis)がみられた。 抗線維化薬であるピルフェニドンは光 線過敏症や悪心を誘発し、ペラグラ様の病態を呈する。マウスに低ナイアシン食を与えてペラグラモデルを作成し、マウス のマイクロバイオームを解析したと ころ腸内細菌叢に変化がみられた。低ナイアシン食でBacteroidaceae、Streptococcaceaeの減少とRuminococcaceaeの増加を 認めた。代謝産物の解析では尿中 MNA、NMO、2-Py、4-Pyの減少を認めた。皮膚のアラキドン酸の分析でもHETEやEETの上昇を認め酸化脂肪酸の影響が示唆され た。ピルフェニドンモデルマウスで 今後マイクロバイオーム解析を行い、肺サーファクタント組成変化の解析と共に副作用の少ない新たな治療法を探索する。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件)
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