研究課題
マウスのごく小さな腎臓に対して、23Na-MRI(磁気共鳴映像法)を用いて23Naをもとにした画像化に成功し、水の効率的な再吸収が可能となる対向流増幅系のNa+の濃度勾配・Na+の貯留の状態を可視化した。この23Na-MRI画像をもとに、今まで理解できなかったネフローゼ症候群における「腎臓全体のNa+のハンドリング・Na+の貯留」と「Na+の再吸収に関わるチャネル・トランスポーター」の関係を明らかにすることで、病態生理の解明を試みる。腎臓全体でのネフローゼ症候群のNa+の再吸収に関わる機構の異常を解明することを目的とする。正確な腎臓内の位置の特定のため、検出コイルを新たに作成し、23Na-MRI画像を既存の 1HプロトンのMRI画像と合致した画像が撮像できた。NEP25マウスは東海大学松坂泰二教授より供与を受けて、飼育中だったが、MRI機器がある場所のP1Aの条件を満たせないこと、また、輸送によるマウスの馴化ができないといった問題があり、代替としてアドリアマイシン腎症モデルマウスでの撮像を行った。コントロールと比較して、腎臓の画像所見に変化を認めなかった。特に、対向流増幅系を反映する腎臓内の髄質の輝度に変化を認めなかった。また、NEP25マウスのNKCC2 mRNA、蛋白量ともに差を認めなかった。ネフローゼ症候群において、既報として指摘されているように集合管主細胞のENaCの変化は認めるものの対向流増幅系に関わるNa+-K+-2Cl-共輸送体(NKCC2)の変化は認めないことが示唆される。慢性腎臓病全体として、視野を広げ、糖尿病モデルマウスでの検討を行ったところ、ごく早期の6週齢での対向流増幅系の変化を見出した。この結果について、Kidney360誌に掲載された。尿中アルブミンの測定とともに、糖尿病性腎臓病での尿細管異常の早期診断の可能性が示唆された。
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Kidney360
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10.34067/KID.0000000000000072