研究課題/領域番号 |
20K08591
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山田 浩司 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (80325092)
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研究分担者 |
竹居 孝二 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40322226)
淺沼 克彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (60449064)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アクチン / ポドサイト / 微小管 / ストレスファイバー |
研究実績の概要 |
腎臓糸球体ポドサイトに発現しているダイナミン1及びダイナミン2の細胞内機能を調べることを目的とした。本年度は、ダイナミン2のアクチン制御機構について、in vitro解析を中心に行なった。ダイナミン2はCharcot-Marie-Tooth病(CMT)の原因遺伝子の一つであることが知られている。ヒトでは9つの変異が知られている。その一つであるK562Eが細胞内のストレスファイバーとアクチン線維束形成を異常にすることを見出している(Yamada et al., Neurosci. lett., 2016)。この現象を、in vitroで解析するために、ダイナミン2野生型とK562Eをコムギ無細胞タンパク合成系を用いて調製した。最初に、ダイナミン2K562Eの性状を調べた。変異体は、膜との結合と、膜結合に依存するGTPase活性が顕著に低下していた。低イオン強度緩衝液中での自己重合性のGTPase活性は、野生型のそれに比較して、30%低下していた。また、アクチン線維とダイナミン野生型またはK562Eを混合し、その形態を電子顕微鏡にて観察した。変異体は、野生型同様にアクチン線維を束化した。このアクチン線維を精査した。高速原子間力顕微鏡観察から、ダイナミンが螺旋状に重合しているリムの部分にアクチン線維が結合していることがわかった。ダイナミンにより形成されたアクチン線維束と細胞膜を模倣したリポソームとの結合を調べた。ダイナミン変異体により形成されたアクチン線維束はリポソームにほとんど結合しなかった。従って、変異体は、細胞内でアクチン線維を束化するものの細胞膜と結合できないために、ストレスファイバー形成不全がおこると考えられる。本研究は、Frontiers in Cell and Developmental Biologyに2022年5月10日に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ダイナミンーアクチン線維複合体を電子顕微鏡観察にて、その構造を明らかにすることができた。また、これまでに発見してきたヒトポドサイト細胞株を用いて解析してきた結果と合わせて論文として発表することができた。当初の計画以上に進展していると考えられる。ダイナミンによるアクチン線維束については、依然として、その細胞内での形成過程や構造は不明である。今後、ダイナミンがどの様にしてアクチン線維を束化するのか、解析手法の探索も合わせて解明していく。
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今後の研究の推進方策 |
以降、ダイナミン2によるアクチン線維束形成過程の解明を主体に、構造の面からもさらに解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品を効率よく購入するために繰り越した。繰り越した分は、今年度購入する予定であった消耗品と次年度のアクチン動態の解析に必要な消耗品とを合わせて購入するための費用に充当する。
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