研究課題
腎臓糸球体ポドサイトに発現しているダイナミン1及びダイナミン2の細胞内機能を調べることを目的とした。令和2年度は、ダイナミン1の機能解析を行った。ダイナミン1は、分化したポドサイトの微小管を束化し安定化することでその形態形成に寄与することを明らかにした。さらに、精製したダイナミン1と微小管を試験管内で反応させて、ダイナミン1が微小管を直接束化することを負染色と透過型電子顕微鏡を用いて明らかにした。本研究は、米国実験生物学連合会の学会誌であるFASEB Journalの2020年12月号に掲載された。令和3年度は、ダイナミン2のポドサイト細胞内機能を調べた。Charcot-Marie-Tooth病の原因遺伝子の一つであるダイナミン2変異体K562Eの発現は、ポドサイト細胞内のストレスファイバーとアクチン線維束形成を異常にした。in vitro解析系の結果から、K562E変異によりダイナミン2が細胞内でアクチン線維を束化するものの細胞膜と結合できないために、ストレスファイバー形成不全がおこるという作用機序を明らかにした。本研究は、Frontiers in Cell and Developmental Biologyに2022年5月10日に掲載された。令和4年度は、ダイナミン2によるアクチン線維束形成機構を調べた。ダイナミン2によるアクチン線維束を形成させ負染色し透過型電子顕微鏡にて観察した。ダイナミン2野生型及びK562E変異体は、直径が約50nmのアクチン線維束を形成した。野生型が作るアクチン線維束は、複数の線維束がさらに束化しており、クライオ電子顕微鏡を用いた観察に適さないことが判明した。一方、K562Eは、さらに束化したアクチン線維束が少なく、分散した状態で観察できた。従って、この条件にて、今後クライオ電子顕微鏡観察に向けた試料調製を進めることにした。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)
Frontiers in Cell and Developmental Biology
巻: 10 ページ: 884509
10.3389/fcell.2022.884509
Elife
巻: 11 ページ: e73542
10.7554/eLife.73542
Frontiers in Cell and Infection Microbiology
巻: 12 ページ: 992198
10.3389/fcimb.2022.992198