本研究ではDoxycycline誘導Histone 2B-GFPマウスを用いて、腎幹細胞の増殖・分化様式を解析した。分裂速度の非常に遅い腎幹細胞をGFP標識したところ、GFP陽性尿細管細胞の数がDoxycycline投与期間に比例して増加し、一方、追跡期間に反比例して減少することがわかった。以上の結果から、腎障害後に活発に増殖(再生)する尿細管細胞は、正常状態でもゆっくり分裂していることが判明した。このマウスを用いて、腎幹細胞の増殖・分化様式がさらに明らかになれば、「腎幹細胞を起点とする尿細管再生システム」を活用した腎再生医療の実現が可能になると思われる。
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