研究課題/領域番号 |
20K08598
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
緒方 浩顕 昭和大学, 医学部, 教授 (30296959)
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研究分担者 |
溝渕 正英 昭和大学, 医学部, 准教授 (90465203)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ビタミンD / ビタミンD受容体 / 心血管障害 / 尿毒症 |
研究実績の概要 |
本研究では、『尿毒症下における各種心血管細胞のauto/paracrine mechanismによるvitamin D活性化調節の役割』を明らかにすることである。言い換えれば、in vitroや動物モデルでは一致して認められるvitamin D (VD)投与による心血管保護作用、心血管リモデリング改善作用が臨床ではみられない原因を明らかにすることである。研究仮説として、外因性のVD投与による心血管組織のVD受容体の活性化ないしは活性化以降の細胞内シグナル伝達等のdownstreamに、negative regulatorが存在し、VDR活性化による心血管細胞保護作用を阻害していると考え、研究計画を立てたが、COVID-19禍に伴い、基礎的研究には大きな制限が掛かったために進捗は大きく遅れていた。2021年半ばよりようやく研究が軌道に乗り、DOCA負荷高血圧マウスでは、心筋線維化におけるVD-VDR活性化の保護効果がFGF-23発現増加のより阻害されることを見出し、そのメカニズムとしてFGF-23によるVD活性化酵素、CyP27b1の抑制が重要であることを明らかにした。その成果は、Laboratory Investigation誌(IF 5.5)に投稿、アクセプトされ、出版予定である。 COVID-19禍で基礎研究が滞ったが、その期間に臨床研究として、過去のデータセットを用いて血液透析患者の活性型VD製剤の効果を検証した結果をTher Apher Dial誌(同2.2)へ投稿し、これもアクセプトされている。また、本研究結果を取り入れた総説もExpert Opin Drug Saf 誌(同 4.0)にアクセプトされた[doi: 10.1080/14740338.2022.2044472.]。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19感染の増加時には、研究に支障をきたすことはあったが、2022年度は研究も徐々に活性化し、基礎的研究が進み、その成果をtranslationalに検討する臨床研究を行った。過日に実施したランダム化比較研究のデータセットを用いて、血液透析患にVD製剤の効果をpost-hocに検証し、論文化した。 基礎研究では、DOCA負荷マウスモデルを用いて心筋細胞におけるFGF-23のlocalなVDR活性化調節機構について検証し、その結果を英文誌に発表した。
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今後の研究の推進方策 |
各種CKDモデルを作成して、尿毒症病態下の心血管におけるVD-VDR活性化調節機構の解明に注力する。同様のテーマの研究を実施している他施設の研究室と積極的に情報交換し、研究計画、実施方法を再検討し、効率的な研究方法の創出により速やかに研究を推進していく。
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