研究分担者 |
湯澤 由紀夫 藤田医科大学, 医学部, 教授 (00191479)
尾形 宗士郎 藤田医科大学, 医療科学部, 講師 (00805012)
坪井 直毅 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50566958)
稲熊 大城 藤田医科大学, 医学部, 教授 (60791069)
冨田 章裕 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80378215)
高橋 和男 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90631391)
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研究実績の概要 |
単クローン性の免疫グロブリン(M蛋白)が関与するM蛋白関連腎症のうち, 血液悪性腫瘍の診断および治療介入基準を満たさない血液疾患群の報告が相次いでおり, 末期腎不全や死亡に至る例も少なくない. この背景となる血液疾患群をmonoclonal gammopathy of renal significance(MGRS)と総称することが提唱され, MGRS関連腎症の病理学的知見は蓄積したが, 稀少性から臨床疫学データは皆無である. そこで我々はまず, 自施設において腎生検を実施した「腎障害を有する多発性骨髄腫/悪性B細胞腫瘍群(MM/BC群)」および「MGRS群」からなるM蛋白関連腎症コホートを構築した. 本研究では, 両群の臨床・病理像を横断的に一般化線形モデルで解析した. MGRS群はMM/BC群と比した腎生検時のmean differenceはHgb +2.72g/dL(P=0.018), Clonal bone marrow plasma cellsの割合 -19.45%(P<0.001), 血清Cr値 -2.72mg/dL(P<0.001)であり, AKI/AKDの発生オッズ比 0.022(P<0.001)であった. すなわち多様性のあるM蛋白関連腎症のなかで, MM/BC群が圧倒的な腫瘍「量」を背景に主として円柱腎症による急性の腎症候を呈するのに対し, MGRS群 ではM蛋白による多彩な糸球体沈着症を呈することを見出した. 次に, 両群の腎予後, 生命予後を縦断的に生存時間分析で検証したところ, 腎死に至ったのはMGRS群 0.11/人年(10人/87.4人年), MM/BC群 0.35/人年(12人/34.55人年)であり, 死亡はMGRS群 0.10/人年(10人/97.7人年), MM/BC群 0.18/人年(9人/48.7人年)であった. また腎死および全死亡をアウトカムとしたCOX比例ハザード解析において, MGRS群はMM/BC群に対する有意なリスク因子とならなかった. すなわちMGRS群もMM/BC群と大差なく, 予後不良であることが明らかになった.
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