研究課題/領域番号 |
20K08604
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三村 維真理 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (00727084)
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研究分担者 |
南学 正臣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90311620)
田中 哲洋 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (90508079) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ヒストン修飾 / 腎線維化 |
研究実績の概要 |
申請者は、ヒストン修飾酵素阻害薬の1つであるGSK4Jが尿細管間質の線維化に与える影響について調べている。GSKJ4はKDM6A(Lysine(K) demethyltase 6A、別名UTX:Ubiquitously transcribed tetratricopeptide repeat, X chromosome)およびKDM6B(Lysine demethylase 6B、別名JMJD3:jumonji domain-containing protein 3)を阻害する薬理作用を有する。GSKJ4はH3K27のメチル化を促進させ、その標的遺伝子群の発現を抑制する作用をもつ。申請者は、ラット線維芽細胞株であるNRK49Fに線維化刺激であるTGFβおよびGSKJ4の標的であるKDM6BをsiRNAによりノックダウンさせた際の遺伝子発現変化をNRK49FからmRNAを抽出し、先進ゲノム支援の支援を受けながらRNA-seqを行った(N=3)。その結果、TGFβによる刺激で576の遺伝子が有意に上昇する閾値に対して、KDM6Bのノックダウンにより発現が低下した遺伝子は26個認められた。以前に申請者がおこなったNRK49Fに対してTGFβ刺激後、GSK-J4を投与した実験でTGFβを投与すると208個の遺伝子が発現上昇し、さらに、GSKJ4を投与するとTGFβによる発現上昇あるいは発現低下が有意にキャンセルされる113個の遺伝子群を同定した。KDM6Bの下流遺伝子26個とGSK-J4の下流遺伝子113個を比較すると7つの遺伝子が共通して認められた。その中にはActa2(αSMA)など線維化に関与する遺伝子が含まれていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
網羅解析結果をまとめて、論文投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
KDM6BをノックダウンしたときにTGFβ刺激による発現変動がキャンセルされる遺伝子群とGSKJ4によって影響を受ける遺伝子群の比較で共通した7つの遺伝子群にKDM6bがリクルートされてH3K27me3が変化しているかどうかを明らかにする。H3K27me3の抗体を用いたクロマチン免疫沈降を行い、H3K27me3のChIP-qPCRをおこなう。これらの成果は国内外での学会発表および学術論文として発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
網羅解析結果をまとめ、論文化を進めていたため残額が生じたが、今年度足りない部分の実験を予定している。
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