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2021 年度 実施状況報告書

ミトコンドリアターンオーバー制御に基づく糖尿病性腎症新規治療戦略の探索

研究課題

研究課題/領域番号 20K08609
研究機関徳島大学

研究代表者

田蒔 昌憲  徳島大学, 病院, 講師 (90528902)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード糖尿病性腎症 / BMP4 / ミトコンドリア
研究実績の概要

ミトコンドリア生合成・マイトファジーで制御されるターンオーバーはミトコンドリア量・質を維持する。糖尿病性腎症においても1型・2型糖尿病の両者でマイトファジー障害が明らかにされている。糖尿病性腎症における代表的な病理学的変化はメサンギウム基質拡大であるが、ミトコンドリア障害に関連する活性酸素はメサンギウム基質拡大を惹起することが知られている。糖尿病性腎症の細胞外基質増加因子である骨形成因子4(BMP4)は脂肪細胞ミトコンドリア障害を惹起するが、腎ミトコンドリア障害作用は未解明である。そこで、糖尿病性腎症におけるミトコンドリア障害とBMP4の意義、ターンオーバー鍵分子Parkinの役割を検討した。
ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウス腎臓において、ターンオーバー制御シグナルの発現が低下し、ミトコンドリア量と電子伝達系酵素活性の低下、電子顕微鏡観察によるミトコンドリア形態異常が認められた。培養メサンギウム細胞においてBMP4添加は糖尿病マウス腎臓と同様のミトコンドリア障害を惹起し、Parkin過剰発現はBMP4添加によるミトコンドリア障害を軽減し、細胞外基質増生も抑制した。培養メサンギウム細胞におけるsiRNA法によるParkin一過性発現抑制はBMP4添加と同様のミトコンドリア障害と細胞外基質増生を惹起した。BMP4の下流分子である転写因子Smad1のリン酸化を薬剤にて阻害すると、BMP4添加による培養メサンギウム細胞のミトコンドリア障害が軽減されたので、BMP4によるミトコンドリア障害はSmad1を介することが示唆された。
BMP4はSmad1を介してメサンギウム細胞において糖尿病マウス腎臓と同様のミトコンドリア障害を惹起し、Parkinはその新規治療標的となり得る。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

糖尿病マウス腎臓および培養メサンギウム細胞において、BMP4が低回転性ターンオーバー障害を惹起することを見出した。さらに、マイトファジーの鍵分子Parkinが治療標的となる可能性を見出した。また、BMP4がミトコンドリア障害を惹起する機序として転写因子Smad1を介することが示唆された。これらは本研究テーマの主要な知見であるため、順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

浸透圧ポンプを用いたBMP4全身投与マウスの解析をすすめている。現時点においてBMP4全身投与はミトコンドリアターンオーバー障害を伴うミトコンドリア機能障害とメサンギウム基質拡大を惹起することが示唆されているので、次年度は本モデルの解析を進める。具体的には、腎組織の病理学的解析、マウス血液・尿の生化学的解析、単離ミトコンドリア電子伝達系酵素活性、ミトコンドリアターンオーバーに関連する分子の蛋白質・mRNAレベルでの発現評価、抗酸化能・酸化ストレス解析などを行う。これらの所見をふまえて論文報告する方針である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染蔓延の影響でBCPレベルを考慮しながら実験を行ったため、動物実験よりも細胞実験を優先した。その結果、比較的安価に実験を遂行できたため次年度使用額が生じた。次年度はBMP4の全身投与モデルを始めとしたin vivoでの実験と、論文発表のために必要な追加実験を中心とした研究を行う予定であり、次年度分として請求した研究費とあわせてその費用に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Parkinはメサンギウム細胞におけるBMP4由来ミトコンドリア障害の新規治療標的である2021

    • 著者名/発表者名
      田蒔昌憲、西村賢二、柴田恵理子、上田紗代、越智ありさ、 冨永辰也、安部秀斉、長井幸二郎、脇野修
    • 学会等名
      第64回日本腎臓学会

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公開日: 2022-12-28  

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