研究課題/領域番号 |
20K08613
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
岩津 好隆 自治医科大学, 医学部, 准教授 (40424014)
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研究分担者 |
黒尾 誠 自治医科大学, 医学部, 教授 (10716864)
黒須 洋 自治医科大学, 医学部, 准教授 (40468690)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 急性腎障害 / 慢性腎臓病 / Klotho / FGF23 / 骨ミネラル代謝異常 |
研究実績の概要 |
急性腎障害(AKI)および慢性腎臓病(CKD)では腎臓のKlotho蛋白発現が低下し、Klotho蛋白発現低下がさらに腎障害を増悪させると考えられている。FGF (Fibroblast Growth Factor) 23が腎臓のklotho蛋白発現を低下させることから、本研究は、AKIやCKDにおける血清FGF23濃度上昇が腎障害の発症・進展に関与するかどうか、FGF23阻害ペプチドを用いて検証することを目的としている。 マウス(C57BL/6J)を用いたAKIモデル(虚血再灌流)では、FGF23阻害ペプチド予防投与および虚血再灌流後12時間(発症後)後投与により、虚血再灌流24時間後において、vehicleを投与した群と比べて腎臓のklotho蛋白発現低下が抑制され、腎障害は有意に改善した。昨年度は、Klotho欠損マウスを用いたAKIモデルを作成し、虚血再灌流24時間後において、FGF23阻害ペプチド予防投与および発症後投与は、vehicleを投与した群と比べて、腎障害を改善しなかった。つまり、FGF23阻害ペプチドによる腎保護作用は、腎臓でのKlotho蛋白発現維持が関与していると考えられた。 本年度は、まずAKIモデルにおけるFGF23阻害ペプチドの予防投与の効果を評価した。FGF23阻害ペプチド予防投与により虚血再灌流6時間後ではvehicleを投与した群と比べて腎障害の程度に差を認めず、12時間後では腎障害の程度がやや軽減したが有意差を認めなかった。次にAKI発症後におけるFGF23阻害ペプチドの治療効果を評価した。FGF23阻害ペプチド発症後投与により、虚血再灌流24時間後において、FGF23阻害ペプチド予防および発症後投与群と比べて、血清尿素窒素値は有意に高値であった。従って、AKI発症後のFGF23阻害ペプチド投与に明らかな治療効果を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルス感染症の影響が持続したが、本年度は予定通り研究を遂行できた。しかし、昨年度の遅れを取り戻すことはできず、やや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
以下の研究を推進する。 1.急性腎障害に対する治療効果:急性腎障害発症予防効果のみに焦点をあて、遺伝子や蛋白発現と組織学的解析を用いて、さらに詳細な検討を行う。 2.慢性腎臓病に対する治療効果:マウス(12週齢C57BL/6J)に4週間高リン食を負荷し、慢性腎臓病に移行した時点で (高リン食負荷5週目から) 、FGF23阻害ペプチドまたはvehicleを充填したミニポンプを腹腔内に埋め込み、4週間持続投与する動物モデルの作成は終了した。今後、採取した検体を用いて解析を進める予定である。
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