昨年度までの報告にも記述していたが、本研究の実施予定では、患者より提供していただいたリンパ球を元に、EBウイルスを用いたリンパ芽球細胞株を株化し、さらに自己抗原に結合する抗体を産生するる細胞株のクローニングまでを、株)イーベック社に外注する計画であった。ところがイーベック社がその受託サービスを中止してしまい依頼できなくなってしまった。また、外注を予定していた実験の一部である、EBウイルスによるリンパ芽球細胞株の受託については他社でも見つかったが、予定した予算よりはるかに高額なため依頼することが出来ず、研究方法を再考する必要に迫られた。 そこで、古典的な方法ではあるが免疫沈降法を実施した。患者血清からIgGを精製し、それを血管内皮細胞(HUVEC)から調製した膜画分に反応させ、IgGに結合したタンパク質を沈降させて回収した。そして、回収したタンパク質のプロテオミクス解析を行った。患者血清だけでなく、健常人血清でも同様の実験を行い、患者血清の方で2倍以上検出されたものを選び出した。最終的には、健常人血清では検出されず、患者血清だけで検出されたタンパク質が73種類判明した。さらにタンパク質の解析ソフトProteome discoverer の解析により、タンパク質の局在が細胞膜と想定されるものを7つ特定した。これらのタンパク質が検出されたことが、患者血清中のIgGが特異的に結合して回収されたことによることを確認するため、それぞれのリコンビナントタンパク質と抗体を用意し、サンドイッチELISAで患者血清中のIgGが結合することを確認している段階である。
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