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2021 年度 実施状況報告書

本邦における遺伝性巣状分節性糸球体硬化症の原因遺伝子変異プロファイルの確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K08625
研究機関山形大学

研究代表者

橋本 多恵子  山形大学, 医学部, 助教 (30507629)

研究分担者 張田 豊  東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10451866)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード巣状分節性糸球体硬化症 / ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 / 日本人遺伝的背景 / genetic FSGS / クリニカルシーケンス
研究実績の概要

①診断および診療の選択に活用する体制の構築:
新規に2021年度は2家系6検体の解析対象患者検体が収集された。全エクソーム解析施行し、解析結果が返却され次第、114の病因候補遺伝子について評価し、結果をエキスパートパネル会議で臨床データや病理写真等も併せて評価し、その病原性について検討を行った。コロナ禍で一同に会する会議が困難であったためWeb会議を施行した。パネル会議の結果、候補遺伝子変異・確認が必要な患者に関しては、家族検体の収集をし、当該遺伝子解析、既報病因変異およびACMGガイドラインでPathogenicとされる変異については、迅速に第一報を主治医に返却した。

②日本人特有の病因遺伝子やバリアントに対する機能解析:
TRIM8はてんかん性脳症の原因遺伝子の一つとして知られており、近年巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)や蛋白尿を合併した症例が報告され、発症機序として、nonsense-mediated decay(NMD)を逃れた変異アレルのよるdominant negative効果が推定されている。今回発達遅滞やてんかんを認めないFSGSの女児にTRIM8遺伝子のlast exonの新規ナンセンス変異Tyr487*を認めた。患者の腎生検組織でTRIM8が低下し、SOCS1の発現亢進を確認、またmRNAがNMDを逃れていることも確認し、TRIM8の本バリアントが神経症状のないFSGSの原因となり得ることを報告した。BMC Nephrol. 2021 Dec 20;22(1):417. doi: 10.1186/s12882-021-02626-1

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

コロナ禍により、必要な実験器具(特にフィルター関連)が入手が困難になっており実験推進が困難になっている。また患者検体入手においても、患者の受診の遅れや病院受診機会縮小などにより、困難になっているため。

今後の研究の推進方策

①診断および診療の選択に活用する体制の構築:本年度も、解析対象患者の収集を継続し、全エクソーム解析施行し、結果をエキスパートパネル会議で速やか評価し、既報病因変異およびACMGガイドラインで Pathogenicとされる変異については、迅速に第一報を主治医に返却し、クリニカルシーケンスの基盤づくりを一層進める。また、エキスパートパネル会議の結果、候補遺伝子変異・確認が必要な患者に関しては、家族検体の収集をし、当該遺伝子解析を進める。またVUS(Variant of unknown significance)に関しては、その影響度、重要性を鑑み、優先順位をつけ、機能解析を進める。

②日本人特有の病因遺伝子やバリアントに対する機能解析:
我々が同定した日本人で頻度の高いLAMB2の病的バリアント(p.R469Q, p.G699R)が古典的なピアソン症候群を起こすバリアントと異なり、ラミニン β2 鎖を欠損させず、ヘパリンおよびラミニン結合性などを上昇させ、ラミニン-521 によるフィルター形成を妨げることで選択的なろ過機能が失われ、血漿蛋白を漏出させる可能性を、東京薬科大学薬学部吉川准教授、東京大学医学部小児科張田准教授との共同研究で明らかにし、論文報告したが、その研究は培養細胞での評価にとどまったため、特に日本人に頻度の高い、p.G699Rに関して、遺伝子改変マウスを作成し、その腎障害の出現の有無について評価する。

次年度使用額が生じた理由

特に学会出張費がコロナ禍のため使用できなかったこと、またフィルター類の物品がコロナ禍で入手困難となり購入できなかったことが主因であるが、順次出張許可、物品入手ができるようになってきているので、順次使用予定としている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Laminin β2 variants associated with isolated nephropathy that impact matrix regulation2021

    • 著者名/発表者名
      Kikkawa Yamato、Hashimoto Taeko、Takizawa Keiichi、Urae Seiya、Masuda Haruka、Matsunuma Masumi、Yamada Yuji、Hamada Keisuke、Nomizu Motoyoshi、Liapis Helen、Hisano Masataka、Akioka Yuko、Miura Kenichiro、Hattori Motoshi、Miner Jeffrey H.、Harita Yutaka
    • 雑誌名

      JCI Insight

      巻: 6 ページ: 145908

    • DOI

      10.1172/jci.insight.145908

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Degree of foot process effacement in patients with genetic focal segmental glomerulosclerosis: a single-center analysis and review of the literature2021

    • 著者名/発表者名
      Ishizuka Kiyonobu、Miura Kenichiro、Hashimoto Taeko、Kaneko Naoto、Harita Yutaka、Yabuuchi Tomoo、Hisano Masataka、Fujinaga Shuichiro、Omori Tae、Yamaguchi Yutaka、Hattori Motoshi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: 12008

    • DOI

      10.1038/s41598-021-91520-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Response to steroid and immunosuppressive therapies may predict post‐transplant recurrence of steroid‐resistant nephrotic syndrome2021

    • 著者名/発表者名
      Miura Kenichiro、Ando Taro、Kanda Shoichiro、Hashimoto Taeko、Kaneko Naoto、Ishizuka Kiyonobu、Hamada Riku、Hataya Hiroshi、Hotta Kiyohiko、Gotoh Yoshimitsu、Nishiyama Kei、Hamasaki Yuko、Shishido Seiichiro、Fujita Naoya、Hattori Motoshi
    • 雑誌名

      Pediatric Transplantation

      巻: 1 ページ: 14103

    • DOI

      10.1111/petr.14103

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A novel de novo truncating TRIM8 variant associated with childhood-onset focal segmental glomerulosclerosis without epileptic encephalopathy: a case report2021

    • 著者名/発表者名
      Shirai Yoko、Miura Kenichiro、Kaneko Naoto、Ishizuka Kiyonobu、Endo Amane、Hashimoto Taeko、Kanda Shoichiro、Harita Yutaka、Hattori Motoshi
    • 雑誌名

      BMC Nephrology

      巻: 22 ページ: 417

    • DOI

      10.1186/s12882-021-02626-1

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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