研究課題
尿細管間質の慢性低酸素状態は、CKDの病態進展因子である。従来より急性腎障害(AKI)は一過性の病態であると考えられてきたが、近年では長期経過において高頻度にCKDを発症する(AKI-CKD移行)ことが明らかになった。低酸素誘導因子HIFは低酸素適応機構を担う重要な転写因子であり、同因子の活性化は腎臓の虚血再灌流障害を軽減させることが知られている。しかしながら、虚血障害に高い感受性を有する近位尿細管においてHIFが尿細管修復・再生過程に果たす役割は不明であり、さらにはHIFの活性化がAKI-CKD移行の長期帰結に与える影響も明らかでない。本研究では、近位尿細管特異的PHD遺伝子ノックアウトによるHIFの活性化がAKI-CKD移行における尿細管修復・再生過程に与える影響を明らかにすることを目的とした。当該年度の研究において、近位尿細管細胞に誘導型Creを発現するNdrg1-CreERT2マウスとPhd1,2,3 triple floxマウスを交配した近位尿細管細胞特異的Phdコンディショナルノックアウトマウスを作製して腎虚血再灌流障害を惹起し、当該遺伝子の近位尿細管における欠損状態が病態に与える影響を検討した。AKIからの回復期において近位尿細管のPhd遺伝子をノックアウトしたところ、CKD移行が認められる第28病日においてBUN, Cre値が低下してアルブミン尿も減少し、同マウスにおける腎障害の軽減が示唆された。
3: やや遅れている
新型コロナウイルス感染拡大のため2020年4月に緊急事態宣言が発出され、申請者が所属する学内の活動制限レベルが(レベル3:制限大)引き上げられたため。https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400137553.pdf
研究計画策定時の想定より若干の遅延が生じているものの、研究仮説の検証事態は着実に進んでおり、現行の方針にて研究を継続する予定。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件)
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