研究課題/領域番号 |
20K08628
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山本 卓 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (70444156)
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研究分担者 |
成田 一衛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20272817)
後藤 祐児 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (40153770)
田中 崇裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70455400)
北村 信隆 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (90224972)
山口 圭一 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任助教(常勤) (90432187)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ポリリン酸 / マクロファージ / 慢性腎臓病 |
研究実績の概要 |
ポリリン酸が腎臓病患者で増悪する感染症に影響するメカニズムを調査している。免疫細胞とポリリン酸の反応とそれに関わる尿毒症病態について検討した。 培養細胞マクロファージは少量のリポポリサッカライド(LPS)で炎症性サイトカインの産生を軽微に生じるが、そこにポリリン酸を加えるとその反応が高度に増強された。このポリリン酸の効果は反応させた量と鎖長に依存することが明らかになった。LPSが存在しないとポリリン酸が作用しないため、細胞とLPSの反応におけるポリリン酸の作用点について検討した。その結果、LPSとマクロファージToll-like receptor4との結合をポリリン酸が細胞表面で作用していることが明らかとなった。すなわちポリリン酸はLPSのマクロファージとの反応を細胞表面で促進することで、より炎症反応を増強していることが理解できた。 腎臓病では多彩なウレミックトキシンが作用し感染症の増悪に寄与している可能性が考えられる。マクロファージにインドキシル硫酸を長期間反応させ、尿毒症状態のマクロファージを作成した。そこにLPSやポリリン酸を反応させるとインドキシル硫酸のない細胞と比較して炎症性サイトカインの発現に違いがみられた。現在、その詳細なメカニズムの解明に取り掛かっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、免疫細胞とポリリン酸の作用について調査できた。 しかし生体資料のポリリン酸濃度測定の確立が途上であるため上記区分の自己評価となった。
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今後の研究の推進方策 |
尿毒症環境で細菌のポリリン酸産生やポリリン酸との反応を観察とそのメカニズムの解明をを進める。 生体サンプルでのポリリン酸の測定系の確立を目指す。これにより腎臓病患者の血中ポリリン酸濃度と感染症イベントの臨床研究が実現できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
マクロファージとポリリン酸の関連とそれに影響するインドキシル硫酸の作用に多くの費用を使用した。しかし、インドキシル硫酸の作用について詳細なメカニズムの解明に至っておらず引き続き検討が必要である。また生体内ポリリン酸濃度の測定系は確立に至らず、そのため多数の症例の測定を開始することができなかった。測定系を確立のうえ次年度使用額を使用させていただきたい。
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