研究課題/領域番号 |
20K08630
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
高橋 直生 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (30377460)
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研究分担者 |
内木 宏延 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (10227704)
岩野 正之 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (20275324)
木村 秀樹 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 准教授 (20283187)
高村 佳緒里 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20811863)
糟野 健司 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (60455243)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | IgM / 形質細胞 / 尿細管間質性腎炎 / 原発性胆汁性胆管炎 / 尿細管性アシドーシス / ファンコニー症候群 |
研究実績の概要 |
われわれは、2017年末、世界に先駆けてIgM陽性形質細胞を伴った尿細管間質性腎炎の発見をJASN誌に報告した。腎生検で通常行われる蛍光抗体法の所見が非異像を呈することが多いため、これまで見逃されてきた可能性が高い疾患である。 今回、JASN報告時の確定症例13例に加え、全国の共同研究施設からIgM陽性形質細胞を伴った尿細管間質性腎炎「疑い」症例を計48例集積した。全症例の臨床情報を得るとともに、全症例に対しIgM、IgG、CD138 (形質細胞マーカー) の免疫染色とIgMとCD138による2重染色を実施した。その中からIgM陽性形質細胞がIgG陽性形質細胞より豊富に浸潤している症例を抽出した。 本疾患と診断(分類)するための顕微鏡1視野のIgM陽性形質細胞数、全形質細胞中IgM陽性形質細胞比率、血清IgM値などをコントロール症例と比較し、暫定的なcutoff値を算定した。次に、決定木解析を用い、臨床情報と組織情報でより重要なファクターを序列化した。 このように、より多くの症例を集積/解析することで、当初は得ることができなかった臨床的特徴をより明確にすることができ、さらに各種パラメーターの実数値やその比率の信頼性が増している。 現在、確定診断されたIgMPC-TIN症例における末梢血単核球のRNA解析を開始している。また、新潟大学と共同で、原発性胆汁性胆管炎の剖検例の全身組織においても、IgMPC-TIN同様の病態が生じているのか検証を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の蔓延のため、県外の移動が制限され、共同研究施設に出向いての剖検サンプルや臨床データの収集ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
健常者、ならびに、IgMPC-TIN確定診断例の末梢血単核球を単離し、total RNAを抽出し、cDNAアレイによる網羅的解析で健常者と疾患群の遺伝子発現の差の検討 を進める。患者血清中の自己抗体の有無を蛋白質アレイを用いて解析する。原発性胆汁性胆管炎の剖検例の全身臓器に対し免疫染色を行い、本症と同様の組織像を認めるかを確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費については、ほぼ使用計画通り使用できている。次年度使用分については、最終年度の使用金額に合算し、研究試薬の購入に充てる予定である。
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