研究課題
本研究は心腎連関の分子的機序解明を目的とし、心不全マウスに腎障害を惹起し腎機能障害の変化、分子機序を解明する研究である。心不全を自然発症するdominant-negative-restrictive silencer factor (NRSF)トランスジェニックマウス(dnNRSF-Tg)において、一側尿管結紮モデル、糖尿病腎症モデル、虚血再灌流モデルを作製し、腎障害の変化、伝達物質や細胞群を同定し、役割解析を行う。研究者はナトリウム利尿ペプチドの腎保護作用に着目しており、心腎連関への関与を検討する。ポドサイト特異的ナトリウム利尿ペプチド受容体ノックアウトマウスと交配し、ナトリウム利尿ペプチド系の意義について解析する。まず心不全マウスにおける腎病変を検討するために、負荷を加えないベーサル状態のマウスを用いてコントロールマウスと生後16週の変化を検討した。血清Cr、尿量、全腎のTNF-α、TGF-β、CTGF、fibronectin mRNA発現を検討した。これらはdnNRSFマウスとコントロールマウスにおいて差を認めなかった。次に腎障害モデルにおける心腎連関の差を検討するために、10週齡のdnNRSFマウスとコントロールマウスにおいて、一側尿管結紮を行い、10日後に屠殺し腎病変を観察した。結紮側の腎重量、体重、全腎のIL-1β、Col1a1、TGF-β、Emr1の遺伝子発現を検討したところ、両群に差を認めなかった。腎間質線維化についても組織学的評価を行ったが、両群に差を認めなかった。これらの結果から心不全マウスにおいて16週までのベーサル状態および10週齢マウスに一側尿管結紮負荷を行った状態では腎病変に差を認めなかった。
2: おおむね順調に進展している
心不全マウスが十分使用可能な状態となっており、腎障害モデルを複数検討行っており、おおむね順調に進行している。
現在の実験で明らかな差が検出できていないが、今後予定どおり、糖尿病モデルと虚血再灌流モデルを行い、腎病変の差を検討する。
すべて 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Kidney International
巻: 99 ページ: 382~395
10.1016/j.kint.2020.09.027
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 523 ページ: 1007~1013
10.1016/j.bbrc.2020.01.033
Scientific Reports
巻: 10 ページ: 3056
10.1038/s41598-020-59970-9
巻: 525 ページ: 319~325
10.1016/j.bbrc.2020.02.088
巻: 98 ページ: 391~403
10.1016/j.kint.2020.02.038
International Journal of Medical Informatics
巻: 141 ページ: 104231~104231
10.1016/j.ijmedinf.2020.104231
Journal of Biological Chemistry
巻: 295 ページ: 16002~16012
10.1074/jbc.RA120.013721
https://www.kidney-kyoto-u.jp/