研究実績の概要 |
本研究では心腎廉価の分子的機序解明を目的とし、心不全マウスに腎障害を惹起し腎機能障害の変化、分子機序を解明する研究を行った。心不全を自然発症するdominant-negative-restrictive silencer factor (NRSF)トランスジェニックマウス(dnNRSF-Tgマウス)において、急性の腎障害を起こすモデルを作成し、腎における表現型の変化を検討した。これまでベーサル状態と一側尿管結紮モデルでは有意な差を認めなかったことから、片腎摘を行った後に虚血再灌流を行う急性腎障害モデルを用いて検討を行った。 腎障害モデルにおける心腎連関の差を検討するために、16週齡のオスのdnNRSF-Tgマウスとコントロールマウスにおいて、右腎摘出を行い、7日後に45分の左腎動脈を虚血を起こした後再灌流を行い、その3日後に屠殺し、血液検査と腎病変の観察を行った。心不全マウスにおいては野生型マウスと比して、腎重量は重い傾向を認めるものの有意差はなかったが、血清Crと血清BUNは有意な上昇を認めた。また心不全マウスでは、全腎RNAにおいてCcl2、Lcn2の発現上昇を認め、炎症ならびに尿細管障害が増強していることが示唆された。 これらの結果から心不全マウスにおいて虚血再灌流モデルの全腎の網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、Psma1, Lrit1, Sdr16c6などの発現が増加していることを見出し、これら遺伝子の関与について今後解析を行う予定である。
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