Control及びビタミンD受容体(Vdr)ノックアウトマウスの体重及び骨格筋重量を時系列で検討した所、3カ月齢にてVdrノックアウトマウスではcontrolマウスと比べ、有意にヒラメ筋(遅筋)、長趾伸筋(速筋)の筋重量が低下し、筋断面積が減少した。次に3カ月齢の同マウスのヒラメ筋及び長趾伸筋を採取し、RNAseqにて網羅的な遺伝子発現の検討を行い、RNAseqにより得られた発現変動遺伝子(Mstnなど)を同定した。 また腎機能低下モデルマウスである5/6腎摘モデルを用いて骨格筋の変化を検討した所、手術後8週目にて5/6腎摘群はSham群と比べ有意に腎機能の低下及びヒラメ筋、長趾伸筋の重量低下及び筋断面積の減少を認めた。そこで5/6腎摘後8週目のマウスのヒラメ筋及び長趾伸筋を採取し、RNAseqにて網羅的な遺伝子発現の検討を行った。RNAseqにより得られた発現変動遺伝子を同定し、Vdrノックアウトマウスにて得られた発現変動遺伝子と共通した遺伝子(約70遺伝子)を同定した。 同定した候補遺伝子のうち筋萎縮に関連する遺伝子の転写制御機構について、3カ月齢のcontrol及びVdrノックアウトマウスの骨格筋に対しATACseqを行い、Vdrノックアウトマウスにおけるdifferential accessibility region (DAR)を同定した。候補遺伝子プロモーター領域におけるDARを同定し、同領域に対しVDR抗体を用いたChIP assayを行い、VDRの直接的な結合がみられるか、検討し、またVDR共役因子の同定のため、同領域に対するABCD assayについても検討を行っている。
|