研究課題
糖尿病性腎症は、わが国における末期腎不全の最大の原因疾患であり、糖尿病性腎症の成因を解明して新しい治療手段を開発することは喫緊の課題である。これまでの一連の研究によって、糖尿病性腎症の成因に軽微な慢性炎症(microinflammation)が関与していることを明らかにした。最近我々は、microinflammationのメカニズムにインフラマソームが関与することを明らかにするとともに、インフラマソームの活性化を惹起する内因性リガンド(danger-associated molecularpatterns: DAMPs)の一つがATPであることを示唆する所見を得た。本研究課題は、糖尿病性腎症の発症・進展過程で起こる炎症の過程におけるインフラマソームの役割を解明し、インフラマソームを制御することによって糖尿病性腎症の新規治療薬の開発を目指す基礎的研究である。本年度は、これまで明らかにしたsuramin以外に、メサンギウム細胞におけるインフラマソームの活性化を阻害する薬剤として、酸化ATPの効果を検討した。メサンギウム細胞をBzATPで刺激して、酸化ATPを添加してインフラマソーム活性化阻害効果を検討したが、安定した結果が得られなかった。そこで、インフラマソームの惹起因子(DAMPs)がメサンギウム細胞内のインフラマソーム関連シグナルを誘導するメカニズムを解明して新たな治療標的を探索するために、ATPによって発現が変化する遺伝子プロファイルをDNAマイクロアレイを用いて検討した。その結果、ATP刺激により発現が2倍以上に増加する10の遺伝子と、0.5倍以下に低下する30の遺伝子を見出した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
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