主要な透析導入の原疾患の中で、多発性嚢胞腎(PKD)は第4位(原因不明を除く)を占める。常染色体優性PKDに対してはトルバプタンにより腎嚢胞の増大と腎機能低下がある程度抑制できるが、多尿(1日4-5L)となることから、生活の質の低下が問題となる。また、時に肝機能障害を認め治療を中断せざるを得ないこともある。本研究によりPKDモデルラットの腎臓である種のセリンプロテアーゼ(SP)が活性化しており、このSPの阻害薬が嚢胞の増大と腎機能低下を抑制することが判明した。さらにSP阻害薬は現時点で治療法がない肝嚢胞の増大も抑制した。SP阻害薬がPKDに対する新たな治療戦略となる可能性が示唆された。
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